こんにちは!管理人のすのうです。
今回のテーマは「育苗ハウスの活用」です。育苗ハウスとは、苗を田植え時期まで育てるビニールハウスのことです。 種まきが終わり、芽が出始めた頃に育苗ハウスに移動して育てられます 。うちはこの育苗ハウスをうまく活用できていないと感じています。
育苗ハウスで苗を育てるのは短い期間で、その後は農機具の保管であったり防草シートやPOフィルムの仮置きであったりせっかくのビニールハウスを活用できていません。とは言え育苗ハウスで野菜や果物を栽培するのはあまり現実的ではありません。育苗ハウスでは苗箱を並べるため地面を平らにしてその上にシートをかけています。
仮に田植え時期が終わってから野菜を植えようとするとシートをはがし、地面を耕し、植え付けから収穫までした後に再度地面を平らに固めてシートをかける…毎年この作業はあまりやりたくありません。
何か活用法はないかと検索していると「ブドウの育苗ハウス栽培」を発見し、今回取り組むこととしました。
ポイントとしてはビニールハウスの端にブドウを定植して主枝1本のオールバック仕立てで栽培を行うことで育苗期間もブドウが邪魔にならず育苗期間後はブドウ栽培による収入が見込めるというものでした。
この育苗ハウスでのブドウ栽培ですが、実は夏前から栽培を始めています。ただ、アスパラ栽培や梨栽培で忙しかったため簡易的な支柱で放置していました。今回は育苗ハウスにブドウ棚を設置してみましたので作業の様子や使用したものを紹介していきます。
育苗ハウスでブドウ栽培
育苗ハウスでブドウを栽培するメリットは何でしょうか?
個人的には初期費用が安く抑えられることとハウス栽培による恩恵ではないでしょうか。
以前、もふもふ農園ではキウイ棚を1から組み立ててキウイ栽培を始めました。この時は48単管や31単管を使って高さ2mのキウイ棚を設置しましたが費用もかかりました。余っていた単管パイプを活用して費用を抑えるように努力はしましたがゼロから始めると費用がかかるものです。
キウイ栽培に関して興味があればカテゴリー「キウイ日記」に記事をまとめていますので読んでみてください。
もふもふ農園のキウイ栽培や日常を記事にしたカテゴリーです。2022年の3月にキウイプロジェクトをスタートしました。成功するか失敗するか分かりませんがうまく栽培し、収穫できるように頑張ります。
その点、育苗ハウスはすでに完成しているビニールハウスです。ここに少し手を加えてブドウを誘引できるような棚を作れば完成です。今回使ったもので言うなら25単管が5本と単管パイプを繋ぐユニバーサルジョイント、番線くらいでこれだけで最低限のブドウ棚が設置できました。
初期費用が抑えられるだけでなくハウス栽培は露地栽培よりも管理が行いやすく防除費用の削減にも繋がります。要は育苗ハウスはブドウの収穫時もビニールが貼られたままで通常の露地栽培よりも防除回数は少なく済みます。
うちでは柑橘類の栽培をハウス・露地両方行っていますが単純に防除回数や果実の見た目だけで判断するならば圧倒的にハウス栽培が優れていると感じます。雨や風で果実が傷ついたり病害虫の被害が多いのは露地栽培の方だと感じます。
活用しきれていない育苗ハウスでブドウを栽培することは理に叶った方法だと感じます。
※今回は台風前にブドウ棚を設置したため育苗ハウスのビニールをはがした状態で写真を撮っています。通常はビニールがある状態です。
ブドウ栽培
さて、育苗ハウスにブドウを植えてから数ヵ月が経ちましたが、すでに失敗したことがあります(笑)
仕立ては1本主枝のオールバック仕立てで考えており、伸ばした主枝をこのように誘引していく予定でした。
しかし結果はこの通り…
原因としては植える位置が入口に近かったため横方向に誘引すると主枝から出た枝の行き場がなくなってしまいます。本来であれば入口から2m程度は離して植えるべきでした。
失敗があるから今後の成功がある!そう信じて今回のブドウはナナメに誘引して栽培することにしました。
ブドウの品種
今回植えたのは「ブラックビート」と言う品種です。普段お世話になっている種苗屋さんが売れ残ったブラックビートの苗木を譲ってくれたため栽培することになりました。
ブドウと言えばシャインマスカットや巨峰、デラウェア程度しか出てこない私ですのでまずはブラックビートについて特徴を調べることにしました。
ブラックビートは「藤稔」に「ピオーネ」を交配し、生まれた実生の中から選抜・育成した品種とのことで登録された品種でした。特徴としては極めて大粒の果実で渋みが極めて少なく果汁が多いとのことでした。大粒なブドウが食べられることを願って栽培を頑張ります。
そんなブラックビートですがブドウ棚を設置する前の状況がこちらになります。
ハウスの支柱に麻紐をかけて何とか耐えていました(笑)
露地栽培なら一瞬で枝が折れるほど簡易的な栽培をしていました。農作業もひと段落したことから重い腰を上げてブドウ棚を組み立てていきます。
ブドウ棚の組み立て~単管カット~
結果的にブドウ棚は2日間で組み立てが完了しました。組み立て時期は台風の接近と被っていたため育苗ハウスのビニールをめくって台風に備える形となりました。
育苗ハウスにブドウ棚を設置する方法はたくさんありますが、今回はハウスの補強も兼ねて「単管パイプ」と「#12カラー番線」を使うことにしました。
単管パイプはハウスと同じ25単管、番線は#14と#12で悩みましたが単管パイプを途中に入れているため#12にしました。カラー番線で保護されているものを選びました。
棚設置で最初にやることは単管パイプを必要サイズにカットすることです。
単管パイプのサイズを揃えないと高低差のある棚になってしまいますのでしっかり計測して単管パイプをカットします。
サイズ決めで意識したポイントはハウスの入り口と同じ高さにしたことです。ここは育苗ハウスですので田植えシーズンには苗の運搬で車両が出入りします。そのため棚を低くしてしまうと車両と接触してしまうため位置を調整しました。
結果的に棚の高さは2m以上の位置でブドウ栽培はやりにくそうですが誘引や剪定などは底上げの下駄などを使ってカバーしようと思います(笑)
最初は単管パイプを設置しますが、市販のサイズ規格でぴったりになることはほぼないと思います。そのため単管パイプをカットする必要がありますがわざわざ電動の切断機を使うのは手間…そう考えた時に便利グッズがありました。
1つあると便利なパイプカッターです。仕組みは簡単で単管パイプに固定して持ち手を時計回りに回転させながら刃を入れて手動で切断していきます。
それほど力を必要とせず、持ち運びが簡単で切断機のように電源を必要としないため1つ持っておくと何かと重宝します。
太い単管パイプは切断するのが大変ですが、今回の単管なら1分もあれば切断できます。
購入の際には切断できるパイプ外径を確認するようにしてください。
ブドウ棚の組み立て~固定~
単管パイプをカットしたら実際に固定していきます。
今回使った固定治具は「ユニバーサルジョイント」です。コストが安く簡単に取り付けができます。
使用している単管パイプに合うものを選び取り付けていきます。今回であれば25サイズのユニバーサルジョイントを購入しました。
両サイド単管パイプを入れて高さに問題ないか、位置は水平かを確認したら蝶ナットを締め付けます。手では限界があるためペンチなどを使うのもおすすめです。
この横方向への単管パイプを支柱3本ごとに1本取付けました。今回はブドウが1本だけですので支柱10本まで棚を組み、横方向への単管パイプは3本、3本の単管パイプを繋ぐ縦方向の単管パイプは2本の計5本で組み立てました。
ブドウ棚の組み立て~カラー番線~
ブドウ棚を全て単管パイプで作っても良いのですが、コストがかかったり誘引がやりにくかったりします。そのため針金(番線)を引っ張ってブドウ棚を設置していきます。
単管パイプを1本固定したら番線を2列引っ張ります。その後単管パイプを1本・番線を2本と繰り返してブドウ棚に仕上げていきます。
今回選んだ番線はカラー#12です。ビニル被覆を施したカラーワイヤーですので錆に強いと感じ、カラーのものを選びました。#(番手)は針金の線径(線の太さ)を表します。今回は#12と言う規格を購入しましたが、一般的にブドウ棚は#10あたりを使うようです。数字が大きくなるほど線径が細くなりますので太さは#10>#12となります。
キウイ棚では#10の番線をメインで使用していますが、ブドウ棚では#12を使いました。理由としては適度に単管パイプを挟んでいるためそこまで太い番線でなくてもよい。そのような判断です。
支柱位置に合わせて3周ほど巻きつけて引っ張ります。ズレや緩みがなければ実際にブドウを誘引していきます。
だいたい50mほどあれば今回作ったブドウ棚分は余裕でまかなえて余った分を補強にまわせます。今後は必要に応じてブドウ棚の範囲を広げていきます。
まとめ
育苗ハウスでブドウを栽培することは理に叶った方法と言えます。田植えシーズンが終われば場所を持て余してしまい、なんとなく農機具や備品の仮置き場になりがちですが、ブドウ棚を設置することで育苗シーズン以外も活躍できます。
規模を増やせばまとまった収穫ができ収入アップにも繋がります。ブドウ棚の高さ調整が必要にはなりますが毎年の育苗シーズンもハウスをほぼそのまま使用できますので手間なく両立できます。
ビニールハウスでのブドウ栽培は病害虫被害減少が期待でき、実際に防除回数が減ったり果実の品質が良くなったと感じる農家さんも多いようです。
棚の設置に関してもすでにハウスの骨組みは完成しているため、少ない材料でブドウ棚が完成でき、初期費用が抑えられることもメリットがあります。
今後も気付いたことがあれば記事を更新していきます。まずは来年にブドウ1房収穫することを目標にして栽培をしていきます。
※2023年、栽培2年目となる記事を投稿しています。興味があればこちらの記事も読んでみてください。
今回も最後まで読んでいただき感謝です。
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