こんにちは!管理人のすのうです。
今回のテーマは「すす病対策」です。すす病については過去から何度か記事を書いて投稿していますが、今回は今までとは違う対処をしたため新しく記事にまとめることにしました。
ちなみにすす病とは植物の葉・枝・果実などにすすのような黒っぽいカビが生える病気で植物の樹勢低下や果実の品質低下を招きます。葉っぱにすす病が出れば光合成が阻害されてしまい樹勢低下に繋がります。
すす病のカビ菌は空気中に存在するもので決して珍しいものではありません。特定の害虫が悪さをしてカビ菌が繁殖する環境を作り出してしまいます。特定の害虫についても後ほど説明していきます。
早速ですが、こちらがすす病の出た不知火(シラヌイ/シラヌヒ)です。
葉っぱは黒くなり全体的に違和感があります。すす病の発生している樹から収穫できる果実は見た目が悪いだけでなく果実自体の品質も劣っていると感じます。
黒い部分を触ってみるとベタベタしており普通の状態ではありません。このベタベタしたものは水を含ませたタオルなどで拭き上げると見た目はマシになりますが現状では食欲をそそられない見た目となっていますね。
今回はすす病をリセットするため今までとは違う対策を取っていきます。
柑橘すす病の対処法
すす病発生のメカニズムをおさらいしておきます。
すす病の根本的な原因はアブラムシやカイガラムシやコナジラミであることが多く、これらの害虫は吸汁性害虫と呼ばれています。
奴らは植物の汁を吸い、排泄物を下に落とします。この排泄物は粘着性のある透明な液体で葉っぱや枝につくと、そこにすす病を引き起こす菌が付着して繁殖、すす病が広がっていきます。
写真の赤丸内に見えている透明な水のようなものがカイガラムシの排泄物です。そして写真にたくさん写っている白い塊がカイガラムシです。カイガラムシは1匹程度であればそこまで問題はありませんが集団で樹の養分を吸うと樹勢も低下してしまいます。
カイガラムシの排泄物は粘着性が高くベタベタしている為、空気中のすす病菌がくっつきやすいようです。
まとめると病気(すす病)を治す為には害虫(カイガラムシなど)を駆除する必要があるということです。
葉っぱや果実についたすす病を取り除いても粘着性のある排泄物が継続して落とされる状態であればすす病は発生し続けます。
現状把握
今回テーマに取り上げたすす病発生エリアは「不知火」を栽培しているビニールハウスです。
ハウスの規模としては3aほどでまずはどれだけ被害が出ているかを確認していきます。
調べてみると2割から3割ほどの不知火にカイガラムシが発生していました。被害が大きい場所では不知火の木1本丸ごと真っ黒で危機的状況となっています。
今回の原因となったカイガラムシについて説明しておきます。カイガラムシはその名の通りカイガラを背負ったような虫で一番の特徴は樹に張り付いて動かない(動けない)ことです。一部のカイガラムシはゆっくりと動くことができるようですが成虫となったカイガラムシは基本的に定位置にいます。
過去には歯ブラシを使って木から落としたり(一度落とすとカイガラムシは動けないため効果あり)ニームオイルを散布して食欲衰退効果を期待したりしましたがやはり生き残りが爆発的に繁殖しているようです。
続いてカイガラムシの繁殖サイクルを書いておきます。
カイガラムシの繁殖サイクル
カイガラムシの繁殖ピークは5月から7月と言われています。
ただし、うちのようにビニールハウスで栽培している場合はそれ以外でも活発に活動している場合があり注意が必要です。
カイガラムシは一般的に3月下旬ごろより越冬した幼虫が活動し吸汁を始めます。
5月ごろには幼虫が成虫になり産卵期に入ります。
5月から7月は第一世代、第二世代の幼虫が発生し繁殖ピークとなります。
9月中旬以降は第三世代の幼虫が発生し越冬できる場所を探し最初に戻ります。
恐ろしいことに1年の間に3回の産卵期があり対処しないと爆発的に被害が広がっていきます。
カイガラムシの繁殖を防ぐためには3月の越冬をさせないことが重要となります。
ビニールハウス栽培では冬場でも温度が高いため害虫も越冬しやすい環境ですのでしっかりと管理していく必要がありますね。
これだけ大発生してしまったカイガラムシをどうやって防ぐか・・・色々と考えましたが重い腰を上げて薬に頼ることにしました。
カイガラムシの防除
今回はカイガラムシの発生場所が拡大していること、果実の収穫が終わっていることを考慮して「マシン油」を使うことに決めました。
マシン油は使う時期を間違えると薬害が出てしまうためしっかりと注意点を理解して散布していきます。
こちらがマシン油ですね。カイガラムシの対処として使っている方も多いのでないでしょうか。
マシン油にも種類がありましたが今回はニチノーさんのマシン油を購入してみました。天然由来物質とは記載されていますが「殺虫剤」ですので強い薬です。
商品の裏側に記載されている適用害虫と使用方法をしっかりと読んで適切に散布していきます。
今回は「柑橘」の「冬期」に使用しますので希釈倍率は30倍から45倍です。(夏期の場合は100倍から200倍です)冬の厳寒期では新芽が出ていないため濃い状態で使えます。ちなみにマシン油は粘着性のある薬剤でカイガラムシを固めて駆除するイメージです。春や秋などの時期に散布すると薬害が出る可能性がありますので使用時期は必ず守るようにしましょう。
散布後は葉っぱがコーティングされたようになっています。カイガラムシをマシン油で覆ってうまく駆除できるといいのですが、生き残りがいないか心配です。散布時は葉っぱの裏側も意識しました。
ここからはしばらく様子見となります。
春以降もすす病がおさまらないようであればマシン油の夏期散布も視野に入れて元気な状態で次の収穫をむかえたいと思います。
すす病の出た果実で被害が少ないものはタオルで拭き上げて販売していますが普通の果実より手間がかかります。すす病被害をリセットできればこの時間も短縮できますね。
まとめ
葉や枝に黒いすすのようなものが出る「すす病」ですが原因となるのはカイガラムシやアブラムシなどの排泄物にすす病の原因となる菌が付着して発生します。
すす病自体は水を含ませたタオルなどで拭くと綺麗に取れますが根本的な解決にはなりません。すす病と言う病気を治すには原因となる害虫を対処する必要があるからです。
今回はカイガラムシが大量発生していたため薬に頼ることにしてマシン油を使いました。薬品を使う時はしっかりと記載された注意事項を守り適切に使用することが大切です。
適用害虫、使用時期、希釈倍率などを確認しましょう。
ちなみに過去にもカイガラムシとすす病をテーマに記事を投稿していました。今から3年前の2022年の記事でした。この時は歯ブラシでカイガラムシを落として地道に駆除していました。記事では途中で心が折れて諦めたと書いていましたが、実はこの後もコツコツ歯ブラシ作戦していました(笑)
昔の記事を読んで感じたことは・・・昔の方がひどい状態でした!興味があればこちらの記事も読んでみてください。
不知火エリアの今後も忘れなければ記事にまとめて投稿していきますのでまた記事を読みに来てください(^^)
次のシーズンも美味しい不知火を収穫できるよう頑張っていきます。
最後に農園のCEOサブさんを紹介して終わりにします。
サブさんが管理する農園が面白いかと思い、サブさん農園と言う看板を作ってもらい設置しました。
小さな個人農園ですので思ったことはフットワークの軽さを活かして次々と挑戦・実践しています。
今回も最後まで読んでいただき感謝です。
コメント