アスパラ農家の1日作業|【春夏】何をしているかタイムラインで解説

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アスパラ日記

こんにちは!管理人のすのうです。

今回のテーマは「アスパラ農家の1日」です。アスパラ農家がどのような1日を過ごしているかタイムライン(予定表)を使って解説していきます。

アスパラ農家ってどんなことをしているの?1日の作業って何をしているの?どんな道具を使っているの?そんな疑問を解決できる記事にしていきます。

1日作業のメインは「春~夏」で解説していきます。これは秋の終盤や冬場は比較的やることが少ないためです。

前提条件ですが、「ビニールハウス栽培」「長期どり」とします。これは「もふもふ農園」のアスパラ栽培スタイルですので、うちの1日をそのまま解説していきます。

ちなみにビニールハウス栽培以外の栽培方法として、施設を使わない「露地栽培」、長期どり以外に収穫期間の少ない「普通栽培」冬に収穫する「伏せ込み促成栽培」などがあります。

こちらは以前に記事にした「アスパラ栽培の1年」で説明しています。

サブローCEO
サブローCEO

アスパラ農家の1日教えてもらおうか。

アスパラ農家の1日

アスパラ農家はやることがたくさんあります。収穫シーズンの春~秋にかけては「毎日」休みなしで収穫作業を行う必要があります。

ピーク時のアスパラは1日で約14㎝も成長します。朝に収穫して夕方にも収穫できます。むしろ朝と夕方の2回に分けて収穫しないと次の日が大変です。収穫規定サイズを大幅に上回りカットする無駄な部分が多かったり、収穫量が跳ね上がり普段より多くの時間がかかってしまいます。

逆に閑散期である収穫シーズン外は毎日行う作業はなく、休みも多くとれます。年間で考えると4月~9月頃までは収穫シーズン10月~3月頃までは管理シーズンです。これには多少ズレもあり、3月頃から収穫が始まったり、10月頃まで収穫が続いたりもします。

一般的に4月~5月に収穫するアスパラを「春アスパラ(春芽)」、6月~9月に収穫するアスパラを「夏アスパラ(夏芽)」と呼んでいます。個人的には茎が柔らかく皮むきしなくても美味しい「春アスパラ」が好きです。

ではアスパラ農家のタイムラインを見ていきましょう。先ほども伝えていますが「ビニールハウス栽培」「長期どり」がベースです。ちなみに「もふもふ農園」のアスパラ栽培の規模は50aで収穫しているビニールハウスで言うと14棟です。

アスパラ農家のタイムライン(春)

アスパラ農家の1日
  • 5:00-7:00
    アスパラ収穫
    約20㎏のアスパラ収穫
  • 7:00-7:30
    アスパラ選別
    選別機でアスパラ選別
  • 7:30-8:00
    アスパラ梱包
    出荷アスパラの梱包
  • 8:00-8:30
    アスパラ出荷
    直売所などへの出荷
  • 8:30-9:00
    朝食
    朝食休憩
  • 9:00-12:00
    アスパラ管理
    アスパラハウス内の管理
  • 12:00-13:00
    昼食
    昼食休憩
  • 13:00-15:30
    アスパラ管理
    アスパラハウス内の管理
  • 15:30-17:30
    アスパラ収穫
    約20㎏のアスパラ収穫
  • 17:30-18:00
    アスパラ梱包
    次の日用に準備
  • 18:00
    作業終了
    戸締りと帰宅

作業内容「アスパラ管理」は毎日行うものではなく、必要に応じて行うものです。例えるなら草むしり、かん水(水やり)、立茎準備などです。

基本的にはこのような流れになります。作業内容に関しては後で説明していきます。収穫し始めや立茎開始時は収穫量が少なく作業時間に多少のズレがあります。収穫量が数㎏の日や逆に30㎏以上の日もあります。

個人的には春は作業しやすく快適な作業環境と言えます。理由としては「アスパラが見やすい」この1点です!

次の夏アスパラで理由は説明しますが、このように収穫するアスパラが一目で分かるのはとてもありがたいです。夏アスパラは過酷です。

アスパラ農家のタイムライン(夏)

アスパラ農家の1日
  • 4:30-7:00
    アスパラ収穫
    約20㎏のアスパラ収穫
  • 7:00-7:30
    アスパラ選別
    選別機でアスパラ選別
  • 7:30-8:00
    アスパラ梱包
    出荷アスパラの梱包
  • 8:00-8:30
    アスパラ出荷
    直売所などへの出荷
  • 8:30-9:00
    朝食
    朝食休憩
  • 9:00-12:00
    アスパラ管理
    アスパラハウス内の管理
  • 12:00-15:30
    休憩
    休憩
  • 15:30-18:00
    アスパラ収穫
    約20㎏のアスパラ収穫
  • 18:00-18:30
    アスパラ梱包
    次の日用に準備
  • 18:30
    作業終了
    戸締りと帰宅

夏場は危険で過酷な作業環境です。この記事を書いている7月中旬時点で昼間のビニールハウス内は40℃をかるく超えています。熱中症や脱水症状のリスクが高まります。

曇りや雨の日はビニールハウス内に入れないことはありませんができる限り避けています。必要な「アスパラ管理」は比較的涼しい早朝の時間帯か夕方以降を中心に行っています。

気温が高い場合は9:00~12:00のアスパラ管理も行わず、早朝と夕方のみの作業となります。その場合、気温が高くなる前にできる限りの作業を行います。

収穫時間が「春」より長くなっていますが、理由としては「立茎状態」だからです。

これが「立茎状態」のビニールハウスです。普段目にするアスパラをそのまま成長させると木になります。木(親茎)が光合成をして根(貯蔵根)に栄養を届けて蓄えた養分で新しいアスパラを出していきます。

春より夏の収穫に時間がかかるのは「アスパラの森」を進み、収穫できるアスパラを探す手間があるためです。

サブローCEO
サブローCEO

夏アスパラは大変だな。

続いてアスパラ農家の作業内容を見ていきましょう。

アスパラ農家の作業内容

アスパラ農家の作業内容は大きく分けて「収穫」「出荷」「管理」に分類されます。「収穫」「出荷」はそのままの意味でアスパラを収穫したりアスパラを出荷したりします。「管理」は多くのことが含まれていますので後ほど解説していきます。

アスパラ収穫

最初はアスパラ収穫です。アスパラは毎日収穫する野菜です。数日放置するとアスパラが木になって収穫できなくなってしまいます。ちなみに収穫できるサイズ(27㎝以上)のアスパラを見逃して半日経つと…

たった半日でこうなります(笑)このオリコンの長さが外寸600㎜ですので約50㎝ほどのアスパラです。下部20㎝以上は廃棄ですので成長に使った養分が無駄になります。

私の思うアスパラ収穫とは「木になりたいアスパラと木にさせない人間の戦い」です。なんとしてでも木になりたいアスパラは毎日多くの芽を出してきます。逆に木にさせない人間は見落としのないようにビニールハウスを巡回し、規定サイズ以上のアスパラを収穫していきます。

ちなみに「春アスパラ」から「夏アスパラ」に移行するタイミングでアスパラを木にする「立茎」がありますが、これはアスパラが弱ってきたタイミングを見計らって収穫を少なくして木(親茎)育生に力を入れます。

サブローCEO
サブローCEO

飴と鞭だな。

立茎作業は根に養分を送るために必要な作業ですので必ず行います。もしも立茎しないでアスパラを収穫し続けた場合、根に蓄えられた養分が枯渇して枯れてしまいます。養分を蓄えさせつつアスパラを収穫していきます。

では「もふもふ農園」で使っている道具の紹介をしていきます。

収穫バサミ

アスパラ収穫バサミです。鎌や普通のハサミより使いやすく、片手で収穫とアスパラ保持ができます。鎌なら片手でアスパラを支え、片手で刈り取りを行う必要がありますが、収穫バサミなら片手で完結します。

特徴としてはハサミの上のオレンジ部分がアスパラをホールドして落としません。使い方や頻度にもよりますが、オレンジのホールド部分は年数とともに緩んできます。もふもふ農園では1年~2年ほどでホールド力が低下して収穫したアスパラが落ちてしまいました。

ハサミの上に出た突起は収穫の目安ラインです。約28㎝のものさしでアスパラ出荷27㎝の目安となります。

片手で「アスパラ保持」「刈り取り」「サイズ計測」が完結する万能アイテムです。

台車

アスパラ収穫で台車は必須です。肩掛けカゴでも代用できますが、収穫を続けていると重い・腰や肩が痛い・アスパラを痛めるなどがあるため、台車を使います。

ベテラン農家さんの中には自作で電動カート+扇風機+ついたての改造台車を製作して活用されている方もいます。

すのう
すのう

扇風機は羨ましい。

夏場は特に暑い中での作業ですので空調服や冷感シャツなどが活躍しますね。

手押し台車を活用します。次に紹介する「オリコン」と合わせて運用します。安定して走行できるようにタイヤは大きめです。前後・左右にはオリコンが落ちないように落下防止対策をしっかりと行います。

オリコン

折り畳み式コンテナ「オリコン」です。「もふもふ農園」では「サンコー:EP-42A-B」と「サンコー:EP33A-B」の二種類を使っています。

台車にオリコンをセットしてアスパラ収穫を行います。縦方向にA級品・横方向に規格外を入れて運搬します。

EP-42A-BよりEP33-A-Bの方が高さが低く、場合によって使い分けています。

EP-42A-B外寸:600×400×220㎜

EP33-A-B外寸:600×400×180㎜

アスパラ出荷

続いてアスパラ出荷です。収穫したアスパラは出荷状態にするためアスパラ選別機を使った「選別」作業を行う必要があります。

アスパラ選別

もふもふ農園では「オギワラ精機(株):AS-Ⅱn」を使って選別を行っています。

機械にアスパラをセットしてコンベアを流すと規定サイズにカットして重量で1番~5番・重量規格外の6種類に自動選別してくれます。

1番が重く販売価格も高いです。一般的に直売所に出すサイズは4番・5番と重量規格外で1番~3番は飲食店や贈答用としています。4番以降を直売所に出す理由としては使いやすいサイズであること・他のサイズに比べて値段が安い傾向にあるためです。

この分類によって要望されたサイズをまとめて出荷できます。収穫したアスパラをそのままカットして出せばいいじゃないか。と考える方もいるかもしれませんが、アスパラが不揃いだと見栄えが悪いことや使いたい料理に合わせにくいことが考えられます。

「アスパラベーコン巻き」を作りたいのに売り場に極太アスパラ1本と極細アスパラ4本がセットで販売されていたらどう思いますか?他のセットを探してサイズの合った3本や4本セットを買いませんか?

飲食店ならなおさらです。お客様に出す料理でアスパラのサイズが全然違うのはクレームものです。出荷・販売するなら同等サイズを合わせるのが基本です。

1㎏単位でまとめて準備します。ここから農協や飲食店、小分けして直売所などへ出荷していきます。

アスパラ出荷

アスパラ出荷は注意が必要です。アスパラは収穫後から鮮度が低下し続けます。常温で管理した場合、1日~2日でも鮮度は大きく低下します。鮮度維持の対策が必須と言えます。

夕方に収穫したアスパラは新聞紙で巻いて水をかけます。乾燥対策を必ず行います。

そのまま放置すると翌日でも鮮度が低下してしまうため保冷庫にて保管します。美味しい野菜を出荷するためには手間は惜しみません。

直売所への出荷方法はいくつかありますが、当日~次の日に売り切れる場合は水を入れたバケツにアスパラを入れて出荷します。売り場の状態に応じてここは変更していきます。

鮮度保持パックでの販売もしています。左の「わけあり」アスパラは重量規格外(極細アスパラ)をお得に詰めた商品です。私はこの極細アスパラが好きです。特に穂先は柔らかくてバクバク食べられます。お子さんやアスパラ嫌いの人は極細アスパラを食べてみてほしいです。

アスパラ管理

アスパラ管理はやることがたくさんあります。

これは最初にリンクを貼った「アスパラ農家の1年」記事でも紹介していますのでここでは簡単に説明していきます。

草むしり

まずは基本作業の草むしりですね。農家の基本は草むしりです。ビニールハウス内の環境で雑草もぐんぐん伸びていきますので必須作業と言えます。特にかん水(水やり)チューブ上の雑草は早期に除去する必要があります。水が雑草に遮られて必要な場所に届かない可能性があります。

立茎

春アスパラから夏アスパラにかけて「立茎」作業が必要です。アスパラを成長させ木(親茎)にしていきます。もふもふ農園の立茎基準は強く・太いアスパラを優先的に親茎にしていますが、太い親茎から出る芽は夏場に割れやすい悪影響があります。一般的にはそこそこのサイズを親茎にします。

立茎しながらアスパラ収穫をする「長期どり」では収入源ができるため経営が安定します。他の栽培方法では立茎したあとは収穫しないものや立茎中は収穫しないものもあります。

芯止め

一般的な呼び名は「摘芯」です。成長したアスパラの頂点をカットして側枝の成長を促します。植物の「頂芽優勢」を利用した作業です。

芯止めによって頂点部分をカットします。芯止めの高さは一般的には130㎝前後ですが、もふもふ農園の芯止めは最大で180㎝ほどに設定しています。メリットはより高い位置で光合成できるため多くの養分を根に送ることができます。デメリットとしては親茎が倒れやすいことです。アスパラは揺れに弱い野菜ですので倒伏対策が必須です。リスク減少のため、低い位置が推奨されています。

整枝

地面から60㎝ほどの枝を取り除く作業です。目的としては夏アスパラを見やすくすることや枝の繁茂をなくすことが挙げられます。

夏アスパラの収穫時間短縮に向けて必要な作業です。芯止めや整枝作業などで出た枝はビニールハウスから出して処理します。残しておくと雑草同様にかん水時に邪魔になってしまいます。

防除

アスパラは病害や虫被害が多いです。主だったところでは病原菌によってアスパラの茎が枯れていく「茎枯病」や虫による「スリップス」「ヨトウムシ」被害です。

薬品による防除は定期的に行う必要があります。アスパラは10年以上収穫できる多年生の野菜です。病害虫被害によって当年ならず翌年以降も被害が出て収穫量が低下するのは防がなくてはなりません。

すのう
すのう

私はヨトウムシが嫌いです。

芋虫タイプのヨトウムシが出る秋頃は憂鬱です。見つけた瞬間に背筋がゾクゾクします。私が農家を継いだらヨトウムシ対策にめちゃくちゃ力を入れます。

ちなみに虫対策には薬品だけではなく、粘着シートタイプのものもあります。

病気茎管理

茎枯病などの病気茎管理も重要です。病原菌がアスパラで増殖して他の健康なアスパラにも感染を広げていきます。病気茎を発見したら早期に刈り取ってビニールハウスから出す必要があります。

 

くさび型の病斑が特徴の「茎枯病」です。放置すると親茎が枯れてまわりに感染が広がります。まん延防止のため病気部分はハウス内においてはいけません。

異形アスパラ

「扁平アスパラ」や「巻きアスパラ」や「はじけアスパラ」など異形と呼ぶアスパラを刈り取る作業です。

こんなのですね。ほとんどは高温障害によってできる「異常茎」です。出荷はできないのに成長に養分は使われてしまう。養分がもったいないことに加えてハウス内の見通しも悪くなります。

低い位置で枝を出されると夏アスパラが見にくいです。このような異常茎も都度刈り取って処分する必要があります。

アスパラ農家ならよく見る光景ですが、初見なら驚く写真です。私のお気に入り記事「異形のアスパラ」でもっと紹介していますので興味があれば見ていってください。

まとめ

アスパラ農家の1日を紹介、作業内容を簡単に説明しました。まとめると「春」は適温で作業しやすい環境で「夏」は作業しにくい過酷な環境です。

特に夏場はビニールハウスに入れないほど高温になりますのでできることが限られています。病気茎の持ち出しや異形のアスパラ除去などはビニールハウスのサイド部分から行ったりもして工夫しています。

外から見れる範囲で刈り取り実施。気温は30℃を超えているためビニールハウスの外でも暑いですがハウス内よりマシです。理想を言えば毎日涼しい時間にコツコツハウス内の管理を行い暑い時間帯は何もしない!これを目指します。

収穫シーズンのアスパラは毎日やることがありますが、シーズン外は比較的休みが取れます。アスパラ専属農家なら冬場に旅行も可能です。がっつり働いてがっつり休みをとれるアスパラ栽培とも言えます。

ちなみに今回紹介した「アスパラ管理」の項目は他にも追肥・肥料入れ・アスパラ株のバーナー焼却・全刈りなど多くのことがあります。冬場にやる作業もありますが、今回はメインを春と夏にしたので省きました。

今回の記事が参考になれば嬉しいです。ちなみにアスパラ栽培に興味を持った人向けに「アスパラ副業」の記事も投稿しています。アスパラ副業はアリなのか?と考えたら見てみてください。

アスパラ農家は日々勉強。農家の研修もブログも頑張ります。

今回も最後まで読んでいただき感謝です。

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