こんにちは!管理人のすのうです。
今回のテーマは「異形のアスパラ」です。異形と呼ぶ変わったアスパラ紹介をしていきます。アスパラ農家ではない人に見せるとすごく驚かれますので今回は異形アスパラの記事を投稿することにしました。ちなみに扁平(へんぺい)アスパラが一番インパクトがあります。
異形?
まずはこちらをご覧いただこう!
写真加工ではないですよ(笑)何か平らっぽく見えませんか?これが今回のテーマ「異形のアスパラ」です。
もっと扁平な異形アスパラもありますよ!上部は穂が密集していて集合体恐怖症でなくとも背筋がぞわぞわしてきます。
この扁平したアスパラは「帯化(たいか)」と呼ばれる異常茎です。個人的にはこの帯化茎がお気に入りです。最後に私のお気に入り「帯化茎コレクション」も紹介します。
異形のアスパラ
結論を言うと、アスパラの高温障害の一種です。夏期の高温はアスパラに悪影響を及ぼします。
親茎の場合は「葉焼け」「成長点枯死」「薬害」「斑点病」などによる生育の悪化、若茎の場合は「開き」「曲がり」「烈開」などの品質低下を引き起こします。
今回は高温障害のアスパラの特徴紹介をしていきます。
帯化茎
最初は扁平のアスパラです。「帯化茎」です。アスパラ農家ならたまにみる光景ですが、知らない人からすると驚くことでしょう。横長で超扁平です。多少の扁平ならB級品、扁平がひどいものは規格外となります。もちろん写真のアスパラは規格外で販売すらできないレベルです。
他のアスパラと比べると一目瞭然ですね。細めのアスパラなら5本分はありそうな幅です。アスパラの化け物です(笑)
ちなみにこの「帯化茎」をそのまま放置すると通常のアスパラ同様に親茎になろうとします。扁平状態から枝分かれして木になりますが、低い位置で枝分かれするため収穫アスパラが見難く親茎にするメリットなしです。
基本的にネタ作り以外は帯化茎を成長させる必要なしで刈り取り一択です。余計な養分を使わないように初期に刈り取るのが基本です。
帯化茎を見つけるとついつい写真を撮ってしまいます。
曲がり茎+帯化茎です。
アスパラ収穫バサミとの比較写真です。棒のサイズは約30㎝。つまりこの超扁平アスパラは30㎝以上あります。
山羊角
特徴は丸まった穂先です。「山羊角」と呼んでいます。ここまで曲がりがあると完全に規格外です。多少の曲がりはB級品として出荷しています。
開き茎
高さが20㎝~30㎝でも開いてしまいます。軽度な開きはB級品、大きく開いたものは規格外になります。
低い位置で木になろうとします。これも異形(異常茎)の一つです。
曲がり茎
アスパラが真っすぐ伸びずに大きな曲がりがあります。「曲がり茎」と呼んでいます。曲がりが軽度なものはB級品、大きく曲がったものは規格外となります。
上に伸びて曲がることもあれば、最初から曲がりを伴って横にぐるぐる曲がるものもあります。下から枝が出てくるため、アスパラ収穫時に見にくいです。
放置すると曲がったまま成長し、枝分かれしていきます。アスパラが見難い、光があまり届かないため光合成し難いなど、メリットがないので刈り取り一択です。
メリットはありませんが「曲がり茎」を成長させてみました。
根本付近に違和感がありませんか?
自重を支えられず割れてしまっています。真っすぐ伸びていないアスパラを親茎にするメリットはありません。(意図的に親茎を斜めにする立茎方法もあります)
病害茎
スリップスの被害を受けた病害茎です。これは高温障害ではないですが、異形アスパラです。穂先がスカスカになり水分がなくなります。写真のものは重度の被害でもちろん販売できるレベルではありません。
軽度に見えるものでも水分が減少し、固くなったアスパラがあります。病害虫「スリップス」は発生を放置していると増殖を続け、ハウス全体のアスパラに被害が拡大します。
烈開茎
アスパラの頭部がはじけた「烈開茎」です。はじけ茎とも呼んでいます。部分的な欠けがありますのでその場で刈って廃棄します。当然ながら販売できない規格外です。基本的には太いアスパラがはじけやすく、烈開茎を減らすためには太いアスパラをあまり出させないことです。
ちなみに、いわゆる夏アスパラは親茎にしたアスパラの太さに近いものが出ます。親茎にするアスパラを意識することで多少は異形アスパラを減らせます。ちなみに「もふもふ農園」の親茎アスパラは太いものを中心に行います。
太いアスパラが出たら要注意です。「烈開」の危険性大です。もふもふ農園ではリスクを取ってでも太いアスパラを出させる方針です。
片方はじけました…
りん片異常茎
アスパラの頭部がない・つぶれた「りん片異常茎」です。これも通常のアスパラではないので販売できません。
では同様にメリットは一切ありませんがりん片異常茎を成長させてみましょう。
一応枝を出そうとしますが異常茎のためうまく上に伸びていきません。
先細り茎
茎の太さがどんどん細くなる「先細り茎」です。写真の状態は先細りに加えて「曲がり」「病害」の症状も出ています。完全に規格外ですので余計な養分を使わないように発見したら除去していく必要があります。
ハート
アスパラの穂先が二股に分かれた「ハート」型です。これは高温障害や病害茎ではなく、アスパラの成長過程で穂先に傷がつき分かれたと思われます。
珍しい異形アスパラです。「ハートアスパラ」で売り出したら人気が出そうですが、量産できないので規格外です。
ちなみにこのハート型のアスパラを成長させるとどうなると思いますか?このまま頭部が同じ状態で茎だけ成長?答えは頭部も一緒に成長します。
もはやハートの面影はありません。完全規格外です。
異形への対処
夏場のビニールハウス栽培は高温になりがちで、アスパラの高温障害が発生しやすいと言えます。そのため「昇温抑制対策」が必須です。
主な「昇温抑制対策」としてはビニールハウスの上部開口部の解放やサイドの解放による換気が有効です。最初からコストをかけて「フルオープンハウス」の導入も検討する余地はあります。
※フルオープンハウスとは屋根部の全面開放ができるハウスのことです。防虫ネットや遮光ネットの巻き取りも可能な高性能ハウスです。
基本的にもふもふ農園の夏場ビニールハウスは開口部・サイドの両方を常時解放しています。換気をしっかりと行っていても高温障害は発生してしまいます。
暑くなったものだな。
これから本格的な夏シーズンで異常茎の頻度は高まりそうです。
その他の対策としては「かん水」の時間を早朝・夕方に分けることも推奨されています。日中の気温上昇のタイミングでかん水をすると蒸れてしまいます。
夏場は防除にも注意。
夏場は病害虫被害も多くなります。特に「ヨトウムシ」「スリップス」「斑点病」あたりの発生に注意が必要です。予防や駆除に「防除」を行いますが、夏場はタイミングが重要です。
朝と夕方はアスパラ収穫があるから昼間に防除をする→大きな間違いです。高温時の防除は「薬害」が起きやすいやめ早朝や夕方など比較的涼しい時間帯を狙って防除を行います。アスパラを守るための防除でも逆に茎や葉を痛めてしまったら逆効果です。
防除前日はかん水を多めに行い、アスパラの木に水分を蓄えさせることも大切です。
帯化茎コレクション
最初にも書いていましたが、個人的に気に入っている帯化茎を紹介します。
①花火のような帯化茎
②綺麗にくるっと帯化茎
③ぐるぐる回転帯化茎
④方向転換帯化茎
余計な養分を使ってしまいますが…ついつい残してしまうのも帯化茎の魅力ですね(笑)
まとめ
夏場は異常茎が発生しやすい時期です。「高温障害」に原因があり、換気やかん水・防除タイミングを適切に行っていても出てきます。
低い位置で枝を出すものは他のアスパラ収穫の邪魔になります。他の異常茎に関しても「規格外」で販売できないことに加えてアスパラの大切な養分を使って成長しています。異常茎は早期に刈り取って余計な養分を使わせないようにすることが大切です。
ちなみに異形ではありませんが、このような状態もあります。
アスパラの親茎から極細アスパラが出ています。これは普通です(笑)
アスパラ農家からすると見慣れた光景ですが、アスパラ栽培をよく知らない人からすると驚く内容だったと思います。そんな「異形のアスパラ」の記事でした。
今回も最後まで読んでいただき感謝です。
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