アスパラは高単価野菜!?高くなる理由を考えてみた

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アスパラ日記

こんにちは!管理人のすのうです。

さっそくですが、今年の夏も暑いですね。うちのCEOも暑さでバテています…夕方の涼しい時間帯を狙ってサブさんぽに行っても途中でバテて座り込んでしまいます。

さて、今回のテーマは「アスパラの単価」です。世間的にアスパラガスは高単価の野菜として認識されており、他の野菜と比べるとあまり値崩れしていません。今回はアスパラガスの単価やなぜ高単価と言われているのかを考えて記事にまとめていきたいと思います。

うちの農園「もふもふ農園」では平成元年(1989年)からアスパラ栽培に取り組んでおり栽培歴は30年以上です。世間的な解釈と実際の生産者目線で記事をまとめていきます。

アスパラガスって高単価?

最初にアスパラガスの取引価格を確認しておきます。アスパラガスは1年を通して流通していますが、最も美味しいと言われていると流通量が極端に少ないが高い価格となっているようです。

余談ですが冬場は通常の栽培方法ではアスパラを収穫できないため伏せ込みと言う栽培方法で収穫を行う必要があります。原理としては秋頃にアスパラ株を掘り起こし、冬場に加温したハウスで管理、アスパラに春が来たと勘違いさせる方法です。手間や加温の費用がかかりますが、他のアスパラ農家が収穫しないシーズンに収穫・出荷できることは収入面で大きなメリットがあります。

続いて気になる単価ですが、だいたい高単価の時期は1㎏あたり1,500円から2,000円程度で取引されています。逆に人気のない時期では1㎏あたり800円から1,000円程度が単価のようです。ネット販売されているアスパラ農家さんでは1㎏3,000円以上の価格設定をされていることも多く販売の仕方で単価はもう少し上がりそうですね。

方法としては農協や市場などにまとめて持っていく、直売所やスーパーなどで販売する、ネットで販売して発送する。このあたりですね。うちでは収穫したアスパラは農協と直売所と飲食店に出荷しており、取引価格で言うと飲食店>直売所>農協の順で単価が変わってきます。飲食店販売が高単価になった理由としては直接取引をすることで販売手数料がかからないからです。

直売所やスーパーなどの出荷では陳列スペースを貸してもらったり、レジ打ちやクレーム対応、品質管理を代行して行ってもらえる代わりに販売手数料などの費用がかかります。場所によって費用は変わってきますが、うちの出荷している直売所ではだいたい売り上げの10%から15%ほどが販売手数料となっています。

農協の単価が低い理由は手間がないためです。例えば直売所に出荷する場合は梱包作業が必要になります。自分で決めた規格で梱包してラベル貼りも行います。50束程度でも梱包するのに1時間はかかってしまうためその間拘束されて農作業ができません。農協や市場などへの出荷は数十㎏単位でもまとめて引き取ってもらえるため手間がありません。その後の梱包作業などは一任でき、自分自身は別の作業ができます。言い換えると梱包からの作業をお願いしているためその分コストがかかって単価が安く見えるとも言えます。

販売先によっても実質の単価は変動することが分かりました。その他にもサイズや品種によって単価が変動していきます。一般的にアスパラガスは太いサイズが高い価格、細いサイズや訳アリ品が安い価格で取引されています。品種で言うと紫品種は通常の緑品種に比べて単価がアップしています。流通量が少ない分、高い価格となっています。又、緑品種や紫品種を遮光して栽培した白色アスパラや桃色アスパラはさらに高い価格で取引されています。付加価値をつけて単価アップも狙えますね。

まとめると、アスパラガスの単価は販売方法によっても変わってきます。直接店舗とやり取りしたら手数料は発生しないため単価もアップしますが、どこかを経由すると手数料がかかってしまいます。直売所では販売手数料が、ネット販売では配送費用が発生します。自分の使える時間も加味して販売先を検討してみるのが良さそうですね。

アスパラは機械化できない野菜?

皆さんは玉ねぎやジャガイモやお米や大豆などは安いと思いませんか?機械で収穫や選別などができる野菜は単価が低くなる傾向にあります。(品種や販売時期によっては高単価になります)

うちでは過去に玉ねぎを5時間程度かけて1個1個収穫して葉や根を落としていたことがありますが、恐らく時給に換算すると数百円クラスです(笑)同じように枝豆を収穫・選別・梱包したときは1時間で10袋くらい作りましたが、1袋100円で販売していたため時給1,000円…栽培に関わるコストを考えると利益は出ません(笑)

これが機械化されると一気に収穫して選別を行い時間もかからず体も楽になります。先ほどの玉ねぎで考えると5時間を手作業でやるのと機械でやるのでは天と地ほど差が出ます。農業に於いて設備投資は超重要です。うちの父つーさんも設備投資には特に力を入れており、必要と判断したら新しい農機具を購入しています。

話を戻します。要は機械を使って収穫できるものは価格が下がりやすく、人の手で収穫しなければならないものは価格も高くなる傾向にあります。

ではアスパラガスはどうでしょうか?一般的にアスパラの商品規格は27㎝で穂先が締まっていて曲がりのないものがA級品とされています。収穫タイミングは毎日で規定のサイズより伸びたものを選んで収穫しA級品とB級品と分ける。この作業はなかなか機械ではできません。

唯一、アスパラの春芽では自動収穫の機械があるそうですが、立茎後のアスパラ夏芽は人の手で収穫が必要になります。先ほどの写真は立茎後のアスパラ夏芽の収穫状況です。

こちらが自動収穫の機械です。興味があれば調べてみてください。

まとめると、アスパラガスは機械で収穫しにくい部類の野菜です。収穫は1度きりではなくシーズン中は毎日収穫を行い、一定サイズ以上のものを選んで収穫します。センサーの付いた収穫の機械もありますが、特にアスパラ夏芽は立茎した森の中を収穫しますので機械で収穫は厳しいです。人の手で収穫を行うため、単価が下がりにくく高単価になりやすいと考えられます。

アスパラって収穫まで1年以上かかる!?

直売所にアスパラを出荷しているとお客さんと話をすることがあります。この間は「アスパラが高いから自分で育ててみた」そんな話をしました。お客さんがそう考えるのも分かります。アスパラを毎日何十束も出荷してほぼ完売しているのを見たら栽培したくなりますし、自分で栽培したらわざわざ買うこともなくなります。

しかし、話を聞いていくと枯れてしまった…そう言うのです。個人的な感想ですが、アスパラは栽培難度が高くしっかりと管理しないと美味しいアスパラが収穫できません。

こちらがアスパラ栽培の初期状態です。ポット苗を定植したものです。サイズとしては指の関節くらいの大きさでぱっと見はアスパラと思えませんね。ここから次々に新しい芽が出て貯蔵根に養分を蓄えていきます。

そうやって1年を過ごして翌年へと繋げていきます。最初の年は成長を優先させるため収穫をしませんが、翌年以降は状況に応じて収穫、立茎などを行います。

アスパラは数ヵ月程度で収穫できるものではありませんし、一度植えたら10年以上収穫を続けられる多年生の野菜です。うちでは平成元年(1989年)に植えたアスパラを今も収穫しています。

アスパラは長期的に収穫できる魅力的な野菜、言い換えれば管理を怠れば翌年以降の品質・収量に影響する栽培難度の高い野菜です。最初は次々に萌芽して栽培が簡単だと思うかもしれませんが、まともなサイズを収穫するのはとても難しいのです。

栽培の話をしておくと、1年目はアスパラ株を成長させる年です。しっかりとアスパラの根「貯蔵根」に養分を蓄えさせ翌年以降に繋げます。2年目も基本的に成長させる年ですが、多少は収穫もできます。うちでは春芽を超少量と夏芽を少量収穫しました。収穫したものはまだまだ細く、販売されている規格のアスパラまでは程遠いです。(太いアスパラが出てきたら収穫せず木にするため、細いアスパラのみ収穫です)

1年目は収穫しないため栽培コストがかさみます。付け加えると土壌管理もしっかりと行う必要があります。具体的には水はけと肥料ですね。アスパラガスの約93%は水分と言われており、水やり(かん水)が重要です。しかし水はけの悪い土壌で栽培していると根腐れや生育不良を引き起こしてしまいます。水を欲するが水はけの良い土壌を好む、そんな性質があります。又肥料も重要で、一度植えたら長期間栽培を行っていくため最初に豊富な栄養のある土作りが必須となります。有機肥料や化成肥料、鶏糞や牛糞などを混ぜ込み土作りをしていきます。

しっかりと準備をしてアスパラを定植、1年以上栽培を続けてやっと収穫できますのでなかなか手を出しにくい野菜です。

アスパラは防除が必要?

最近よく「栽培期間中は無農薬栽培しています」とか「農薬を使用していません」とか書かれたシールやポップを目にしますね。

あくまで私の個人的な感想になりますが、アスパラガスは病害虫に弱く防除が必須ではないかと思います。一部で春芽の収穫初期に関して言えば防除を行わずに収穫をできますが、立茎後の夏芽は防除が必須と言えます。代表的なもので言えば茎枯れ病であったりヨトウムシの食害であったりスリップスの被害であったり、これらを防除なしで乗り切るのは至難の業です。もちろん病害虫が入らないように徹底的に管理された建物で栽培されていたら無農薬も可能でしょうが、現実的には厳しいと思います。

ヨトウムシであれば数センチの芋虫ですので見つけ次第捕殺することも可能ですが、スリップスやアブラムシなどは小さく、たいていが集団でかたまっています。これらを薬品なしで対処するのは厳しいです。うちでも夏芽のシーズンは定期的に防除を行い病害虫の被害を食い止めています。

病害虫による被害が大きければ翌年以降の収量に関わってきますので防除が大切です。被害を受けたアスパラ株が光合成できない・光合成量が減少すると貯蔵根に養分を蓄えにくくなり、翌年の収量ダウンに繋がります。アスパラを無農薬で栽培してみたいと考えていたら多大なる努力が必要かもしれません…

アスパラの露地栽培・ハウス栽培

アスパラガスは露地栽培でもハウス栽培でも収穫できます。個人的にはビニールハウスで栽培した方が良いと思いますが、初期費用がかさみます。アスパラのイメージのある北海道では露地栽培がメインだそうで広大な土地一面にアスパラが植えられています。

ちなみに露地栽培のメリットはコストが安い、ハウス栽培のメリットは管理しやすいことが挙げられます。露地栽培はビニールハウスを使わないため費用が安いですが天候の影響を受けやすく作業の不便さがあったり雑草処理がハウス栽培に比べて大変だったりします。ビニールハウス栽培では初期費用やメンテナンス費用がかかりますが雨でも快適に作業ができ、風によるアスパラ株の倒伏被害も軽減できます。雑草に関しても種子が飛んできにくく定期的な草むしりをしていれば綺麗な状態を維持しやすいです。

この間、アスパラの露地栽培をしている圃場を見てきましたがあまりにも草が生えすぎており、アスパラを栽培していると一目で分からない状況でした。特に複合農家さんではアスパラ以外にも多くの作業があるためなかなか管理が行き届かないようです。

うちも以前にアスパラ露地栽培をしていたことがありますが、うちの場合は露地アスパラは品質が悪くハウス栽培のものに比べて大きな差がありました。一概に露地だから悪い、ハウスだから良いと言うわけではありませんが、ハウスの方が管理しやすいと思います。

まとめ

アスパラが高単価な理由をいろいろと考えてみました。

アスパラは出荷の仕方によっても取引価格は変わってきます。ネットで調べると1㎏3,000円とか1㎏4,000円とか良い値段がするものがある一方で市場にまとめて出荷した場合、取引価格か1㎏1,000円程度なこともあります。直売所に出荷すると自分で値段を付けて単価を上げることもできますが同じ地域内でアスパラ農家がいた場合は価格競争になりがちです。

それでも地域によっては生産量の少ない野菜ですので狙い目とも言えます。

うちの出荷している直売所でもうちより1束50円以上安い値段設定をしている農家さんや逆にうちより1束100円以上高い値段設定をしている農家さんもおられます。現状は需要が供給を上回っているため、どの農家さんのアスパラもほぼ完売していますが今後供給が上回れば価格競争が起こるかもしれません。そうなったらうちは潔く直売所から撤退します(笑)自信を持って栽培した野菜を安くしないと売れないなら別の場所を探します。

話を戻します。アスパラが高単価な理由として機械化できないことです。自動収穫の機械も存在していますがアスパラ夏芽は立茎した森の中を収穫しますのでなかなか機械での収穫は現実的ではありません。手前に立茎したアスパラがあり、奥に収穫できるアスパラがあった場合に人なら手を伸ばしてうまく収穫できますが機械には少し難度が高いと思います。機械化できないと言うことは人件費がかかったり収穫に時間がかかることから安い値段で販売したら利益が出ない。よって世間的に値崩れしにくい分類の野菜で高単価になると言えますね。

続いて栽培難度が高い(コスト面)ことです。アスパラは多年生の野菜ですので1回きりの収穫ではありません。一度植えたら10年程度は収穫でき管理をしっかりと行えば毎年たくさんのアスパラを収穫できます。これを言い換えると最初の1年はアスパラ株の成長を促す期間ですので出費しかありません。ビニールハウス栽培なら設置費用がかかりますし、最初の土壌管理も大変です。まともに収穫できるまで3年はかかるためコストがかさみます。

栽培の管理も大変です。アスパラは病害虫に弱いため防除を定期的に行う必要があります。代表的なものではアスパラ茎に病斑が発生する茎枯れ病や若茎を食害するヨトウムシやスリップスが挙げられます。発見が遅れると被害が拡大して翌年の収量低下に繋がります。又、摘心や側枝カット、冬の全刈り、バーナーでの焼却防除など様々な管理も必要ですので栽培のハードルは高いと言えます。

もふもふ農園では2021年にビニールハウス15棟目の新規アスパラ栽培を始めました。そちらの1年間を記事にまとめていますので最初の1年を知りたい場合はこちらの記事を読んでみてください。

アスパラガスは魅力的な野菜です。通常の緑品種に加えて栽培量の少ない紫品種もありますし、遮光して栽培した白(ホワイト)アスパラや桃(ピンク)アスパラを作る事もできます。こちらは見た目も綺麗で特に直売所ではお客さんから好まれています。他のアスパラ農家との差別化もできますので余裕があれば栽培してみるのもアリだと思います。

アスパラ作業はとても大変ですがとても楽しいです。本格的な収穫シーズンは早朝から作業するため眠いですし立茎ハウスでのアスパラ収穫はイライラします(笑)病害虫を見つけるとため息が出ますし規格外品が多くなると憂鬱になります。それでもアスパラ栽培をやめようと思ったことはありませんしお客さんから美味しかったと言われると嬉しいです。

今後もアスパラ栽培頑張ります!今回はアスパラって高単価?をテーマに記事を書きましたが他にもアスパラ記事をたくさん投稿しています。アスパラに関する記事はカテゴリー「アスパラ日記」にまとめていますので興味があればカテゴリーから記事を探してみて下さい。

今回も最後まで読んでいただき感謝です。

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