アスパラ農家-春芽の雑談-

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アスパラ日記

こんにちは!管理人のすのうです。

今回は久々の投稿となりました。この記事を書いている4月はアスパラ農家にとっては繁忙期で、アスパラ春芽の収獲ピークとなります。忙しい中ですが空いた時間を活用して少しずつ記事をまとめました。

そんな今回のテーマは「アスパラ農家の雑談」です。ここ1ヵ月ほどのアスパラ繁忙期の忙しさや作業内容や便利グッズなどを紹介したり雑談をまとめた記事にしていきます。

もふもふ農園のアスパラ春芽の忙しさ、ぜひ読んでみて下さい!

もふもふ農園のアスパラ

最初にうちのアスパラ規模を紹介しておきます。栽培は全てビニールハウスで15棟を管理しています。面積にすると50a程度の規模ですね。

作業人員は私と父の2人で1日に早朝・昼間・夕方の計3回アスパラ収穫を行っています。

アスパラ栽培は1989年に私の祖父が始め、当時植えたアスパラ(品種は恐らくウェルカム)は今でも収穫を行っています。しかし30年以上収穫を行った株は春芽・夏芽ともに収量が低下し、春芽では25日程度収穫すると細いものが増えたり曲がりや開きが増えてしまいます。

昨年は重い腰をあげて2棟を改植、新たに紫品種を植えました。この作業は過去に記事としてまとめて投稿していますので興味があれば記事を読んでみてください。できる限りコストを抑えて使えるものは全て使うことを意識しました。

15棟のアスパラ栽培では様々な品種を栽培しています。早く収穫できる早生品種や味の良い品種や太いものが出る品種や紫色の品種等、栽培品種を分けることにはメリットがあります。私の感じた感想も含めて一部を紹介していきます。

ちなみにこちらがうちの収獲スケジュールです。梨の収獲が9月頃から繁忙期をむかえますのでそこを夏芽の区切りにしています。

アスパラガスの品種

まずは収穫の早い「PA-050」と言う品種です。この品種はうちの栽培品種の中では1番始めに萌芽が確認でき、直売所や飲食店にいち早く出荷できています。2023年の萌芽は2月の中旬でした。うちの地域ではかなり先行して収穫・出荷ができました。

私の感じた特徴としては気温が低い状態では柔らかく評判が良いですが、気温が高くなるとかたいと感じます。もちろん味は美味しいですし今でも(4月中旬)収穫・出荷を行っています。ただ、他の品種と比べると暑さに弱いかもしれません。

2月中旬に萌芽が確認できたハウスは収穫開始から40日程度で立茎を始めました。立茎しながら収穫も合わせて行う「立茎ダラダラ収穫」をしています。

続いて「シャワー」と言う品種です。こちらはPA-050に比べると少し遅れた萌芽となりますが勢いがありました。1本あたりの平均サイズも太いものがゴロゴロ出てきており飲食店の方には喜ばれました。1本60g以上の規格が多くアスパラ春芽の頼もしい品種です。

私の感じた特徴としてはこちらも暑さに弱く4月中旬頃になると穂先の開きが気になりました。ビニールハウス内は気温が高くなりやすいため4月中旬でも晴れの日は35℃以上の温度がありそうです。ハウスのサイド部を開放して温度調節をして適切な管理に努めています。

次はうちの主力「スーパーウェルカム」です。とにかく美味しいアスパラで個人的には他の品種より頭1つ出ていると感じます。うちと取引していただいている飲食店の中には品種指定でこちらのスーパーウェルカムを購入されていることもあります。萌芽はPA-050やシャワーよりも遅く2023年は3月中旬頃でした。PA-050の萌芽が確認されてから1ヵ月遅れで収穫を始めましたが、この記事を書いている4月中旬は収穫のピークとなっています。

私の感じた特徴としては太い規格が出にくいと思います。全体的に細めが多く春芽の終盤では1本20gから30gがメインとなっています。極太に分類される1本60gの規格からすると小ぶりに見えてしまいますが味が凝縮されていて美味しいです。

最後に「パープルタワー」です。こちらは珍しい紫色のアスパラガス品種です。紫品種は緑品種よりも太い規格が出やすく、勢いもすごいです。1本100gオーバー(27㎝カット)もゴロゴロ出てきて昨年は150gも確認できました。太いアスパラはイメージ的にかたいと思われがちですがむしろ柔らかいものが多いです。飲食店では欲しいと言っていただけることが多くありがたいです。

私の感じた特徴としてはとにかく人気がないです(笑)そもそも栽培量が少なく希少なアスパラで糖度や栄養成分も緑品種より優れている。しかし人気がありません。緑のアスパラを100円で売るならば紫は130円で売りたい所ですがうちの地域では緑と同じ100円でも売れ残ります…

昨年から新たに紫アスパラ登録品種の「紫色舞」を2棟増やして栽培しているため売り先を探さなくてはなりません。最近はアスパラのネット販売も視野に入れて試行錯誤しており将来的には「もふもふ農園のアスパラ」を全国にお届けしたいと思っています。

紹介しきれていない品種もありますが、こちらがうちのメインとなる品種です。

春芽の忙しさ

アスパラ農家にとって春芽・夏芽の収獲ピーク時はとてつもなく忙しいです。

最近を例に出すと起床は4:30、朝からアスパラ収穫を行い全てのハウスを回ります。収穫を終えたハウスからかん水を行い中を蒸らします。アスパラは蒸らすことによって萌芽が活発になりますので10分程度しか時間がなくても蒸しています。

収穫後はアスパラ選別機で収穫したアスパラを規定の長さに切っていきます。うちでは27㎝の規格を選びそこに合わせてカットします。

アスパラ選別機では重さによった規格分けが行われうちの呼び名では1番・2番・3番・4番・5番・極細と呼んでいます。なじみの方であれば極細が欲しいとか4番が欲しいと言った言い方をされます。

選別機でカットしたアスパラは梱包作業をして出荷や配達をしていきます。飲食店であれば㎏単位での取引をしていただけますので塊を作ります。直売所などでは100gから200g程度で梱包を行い家庭内で使いやすい形にしています。

出荷や配達が終われば昼間の収獲です。夏場や気温の高い日はハウス内が灼熱で立ち入ることはできませんが4月中旬頃であれば昼間も収穫を行っています。

アスパラは1日に20㎝程度伸びるとも言われており、朝に収穫しても昼間にはしっかり収穫できます(笑)

気温が高い状態で収穫したアスパラは熱をもっていますのでしっかりと水で冷やします。適切な状態となれば1㎏程度の束を新聞紙で巻いて水をかけ、鮮度維持のため保冷庫に入れておきます。

ここからは直売所の売れ行き次第で追加梱包を行うか休息を取るかに分かれます。直売所や飲食店からの注文が入れば追加を作りますし、不要であれば昼寝をします。農家は睡眠不足になりがちですので休める時は休みます。

夕方になれば3回目のアスパラ収穫が待っています(笑)朝も収穫した!昼も収穫した!しかし夕方はもっと出ています!

早い時では15時頃から夕方のアスパラ収穫を行います。私が思うにアスパラ収穫とは「木になりたいアスパラと阻止する農家の戦いではないか」そう思います(笑)

収獲を終えてアスパラ選別機で規格分けが終わるころには18時30分あたりです。次の日の注文分を準備したり直売所分の出来る分を梱包する頃には21時を回り、片付けや風呂などをすますと…(笑)

スーパー繁忙期な生活を送っていますがこの忙しさは一言で言えば人が不足しているからです。せめてあと1人人員がいれば楽になる!分かっていますが父の意向で増やしません。忙しさを緩和するなら直売所出荷を完全にやめてネット販売・JA出荷などを行う必要があります。

ただ、取引していただいている飲食店の中には直売所でうちのアスパラを知ったから連絡をとって注文している場合もありできれば直売所出荷は続けたいと思っています。

個人農家は大変ですねぇ。私が正式に農園を継いだら気の合う仲間とのびのび農業をやりたいと思っていますがどうなることやら。少なくとも利益はしっかり出さないと生活もできませんから父のいる今のうちにいろいろと試行錯誤していきます。

アスパラ農家の必須アイテム

過去の記事ではアスパラ農家の便利グッズに触れたものを投稿していますが、今回はより厳選して1つだけ紹介しておきます。

アスパラをある程度の規模で栽培するならこちらのグッズは必需品です!

「アスパラ収穫ハサミ」です。商品の特徴は商品ページを見てもらえば分かりますのでここでは簡単に説明しますが、要は「片手でアスパラが収穫できる」アスパラ収穫の神アイテムです。

私が祖父のアスパラ収穫を手伝っていた頃(10年以上前)は鎌と30㎝の棒を持って作業していました。

30㎝に切った割りばしサイズの棒をアスパラに合わせて収穫できるサイズか判断して収穫できるようであれば棒を持った手でアスパラを支え、鎌でアスパラを刈り取る。これを繰り返していました。

当然ながら両手を使うため作業スピードが遅く収穫に時間がかかります。昔は8棟程度の管理だったためなんとか収穫できていましたが今の15棟管理で同様の収獲方法は無理です。

紹介したアスパラ収穫ハサミは「アスパラホールド機能」「目安棒」がセットされた理想的な形をしており片手で収穫をしながら空いた手は台車を押したり収穫したアスパラを何本も持ったりできます。

体感ですが昔の収獲方法と今の収獲方法では倍近く時間短縮ができたのではないかと思います。

一時、アスパラ鎌「大五郎」を挟んだ時もありましたが今では収穫ハサミ一択です。ちなみに大五郎は鎌の持ち手にサイズ目安が記入されており鎌の持ち手でサイズ計測を行い、鎌で刈り取るものです。切れ味は良かったのですが収穫ハサミが使いやすすぎました。

もしもアスパラ農家さんがこの記事を読んでいて収穫ハサミを使ったことがないのなら、経費で購入してみてください。価格も手ごろでコスパは最高だと思います。仮に1日の収獲時間が10分でも短縮できたのであれば収穫シーズン分の効果金額はすごいことになりますね。

アスパラ農家の研修日報

アスパラ研修も数年続き、最近ではかん水サイドの解放日常管理をある程度任せてもらえるようになりました。今回の研修内容は単体の記事としてまとめるにはボリュームがないので、ここでササっと書いておきます。

今回の研修は「立茎」です。

立茎については過去に記事を投稿していますが多少内容が違ったり新しくアップデートしたことも学びました。今回は2023年版として立茎のポイントを書いていきます。

立茎とは

立茎とは簡単に言うとアスパラを収穫せずに木にすることです。皆さんが普段食べているアスパラを子とするなら成長させて親にする。そんなイメージです。

アスパラを収穫せずに栽培していくと葉を展開して親茎となります。親茎は光合成で出たエネルギーを地下部に送って新たなアスパラを出していきます。

ちなみにアスパラの春芽収穫時には親茎はありません。この理由は前年に蓄えた栄養を使って春芽を出しているからです。つまりアスパラは春芽の収獲を途中で中断しないと枯れてしまいます。

アスパラの地下部にある程度エネルギーが残っている状態で春芽の収獲をやめ、親茎を展開してエネルギーを地下部に送る。そうすることによって再びアスパラが出るようになります。立茎後のアスパラは「アスパラ夏芽」に分類されます。

そうやって10年20年と同じ株からアスパラを収穫し、うちでは1989年のアスパラ株が今も現役です。本来なら10年程度で植え替えをすることが理想と言われており収穫を続けると収量が低下して作業量に対する単価も悪くなってしまいます。

さて、立茎ですがうちでは2月中旬に萌芽が確認できたハウスを立茎しました。収穫目安は40日でここからアスパラの状態(曲がりや開きが多くなったり細いものが多くなったなど)を確認して立茎判断をしました。

※他の目安としてアスパラの糖度を計る場合もあります。

立茎は奥が深く、ただアスパラを親茎にすればいい訳ではありません。全てを親茎にするとハウス内が密になり病気のまん延や害虫の増加、管理がやりにくくなります。

うちのルールとしては「春芽4本ルール」を決めて実践しています。これは立茎するときは1株から4本までと決めて管理をします。5本のアスパラが出ていれば1本は落として4本にする、これだけです。

アスパラを栽培していると全てを親茎にした方が光合成が活発になるからそうすべき!と思いがちですがうちでは4本ルールです。

※他の農家さんもそれぞれやり方があるでしょうからうちのやり方として紹介しています。

例外として栽培1年目は基本的にほったらかしです。過去のアスパラ成長記録では次々と芽が出てきましたが一切手入れしていません。それでも問題なく成長し、アスパラ収穫ができています。

春芽4本ルールを守りつつ、5本目が出たら収穫したり弱そうな親茎と入れ替えたりして管理を続けています。最初に理想的な親茎が4本決まったら後から出てくるアスパラは全て収穫するので「立茎ダラダラ収穫」と呼んでいます。

親茎にするアスパラですが、過去の記事では強い・太いものを~と書いていた気がしますが、今回の研修では太すぎるものは親茎に向かないと聞きました。

細すぎず・太すぎない真っすぐ伸びたアスパラを親茎に選んで立茎管理をしていきます。

余談ですが父が以前に北海道までアスパラ視察に行ったことがあり、立茎の様子を学んできました。驚くほど綺麗な立茎で4本の親茎が□形の四隅の位置に配置されていたそうです。

栽培をしていると分かりますが、アスパラは出て欲しいところからは出ないものです(笑)私も将来的には綺麗な立茎手順を確立して栽培していきたいものです。

まとめ

久々に投稿した記事では「アスパラ春芽」についてまとめました。全てのハウスを立茎する頃には繁忙期はいったん落ち着き、比較的時間が取れるようになります。このタイミングで次はこちらのブログ更新を頑張ろうと思います(笑)

最近はアスパラ料理に力を入れたり、他のアスパラ農家さんのチェックをしたり、サブさんと遊んだり(笑)いろいろ活動しました。

レモンやポンカンなどの柑橘類は花が咲き、春枝も展開も始まっていますし柑橘の大トロせとかはビビるくらいの花が咲きました。栽培2年目のキウイは1度も農薬を使うことなく栽培を続けておりたくさんの蕾が付いています。雑草堆肥チャレンジはできた土を使ってかぼちゃ栽培に挑戦しようと考えていますし、雑草対策のナギナタガヤはずいぶん存在感を出すようになりました。

今の忙しさでは今回の記事を少しづつ書くことが限界でしたがまだまだ投稿したい内容があります。今後もブログでの農業発信は続けていきますので興味を持っていただける方が1人でも増えたら嬉しいです。

記事を読んで頂いている皆様、ありがとうございます。PV(閲覧数)が最初と比べると増え、やる気も上昇しています!

今回も最後まで読んで頂き感謝です。

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