こんにちは!管理人のすのうです。
今回のテーマは「柑橘の大トロ救出劇」です。皆さんはせとかと言うみかんを知っていますか?せとかはみかんそれぞれの品種の長所を活かした究極の柑橘と呼ばれ、別名は「柑橘の大トロ」です。
今回の記事ではせとかの紹介や過酷な環境で栽培されていたせとかの救出劇などを紹介していきます。
もふもふ農園のせとか
もふもふ農園ではメインのアスパラガス栽培の他にも柑橘栽培に力を入れています。そのほとんどが「ビニールハウス」内で「鉢栽培」を行っています。柑橘の種類としてはポンカン・デコポン・キンカンが約50鉢ずつ、新規柑橘としてレモンが70鉢あり、計220鉢ほどを栽培しています。
そんな中、以前から露地に植えられていた柑橘を気にしていました。
過酷な環境に露地植えされたせとかです。約2年ほど露地植えされていると思いますが、あまり生長が感じられません。管理をほとんどしていないため当然です。土は固く、雑草が生い茂っていました。
ツルが巻き付き、葉は枯れたり虫に食われたりしていました。そんな中でも果実が実りました。約10本ほどあるせとかに合わせて3個の実が付きました。
その3個のせとかのうち、1つは腐り、1つは鳥に食べられていました。
残された1つは私が食べました。正直、味に期待はしていませんでしたが食べた瞬間とても美味しくて驚きました。
普通のみかんにはない濃厚な味わいは私の考えを変えて、このせとかをたくさん収穫したい!そう考えてせとか救出劇を進めることにしました。
せとかってどんなみかん?
せとかは流通量の少ない希少な品種のみかんです。皮が薄く、香りが良い特徴があり柑橘界の最高峰と言われています。
せとかは価格も高い傾向にあり、大玉なら1個800円から1,000円ほどとなっています。これほど高価格な果実なのに栽培が増えていないのには理由があります。
理由としてせとか栽培の難易度は高いと言われています。果実にエネルギーを溜める力が強いため樹勢を維持するのが難しく、病気(黒点病)にもかかりやすい、トゲが多く綺麗な果実を収穫しにくいなど生産者が避けている傾向にある柑橘と言えます。
一方で、せとか農家さんも存在していますし、管理をしっかりと行っていけば毎年安定した収穫が見込めます。私は安定して収穫や出荷ができないとしても毎年数個は食べたいと思えたため、栽培に挑戦することにしました。
せとか救出劇
雪が解けて地面が確認できた頃に最初の1本目を掘り起こしました。
完全に倒れてしまっていますね。こんな状態では良い実ができる訳ありません。周りの土を掘り起こしてせとかを移動させることにしました。
このせとか達は約2年ほど露地植えで育ちましたが、思ったよりも生長していません。基本的な管理をせず放置していたことに加えて、このあたりの土には雑草の根や以前に栽培していたアスパラの根が一面に広がっており、せとかの生育を邪魔していたと思われます。
掘り起こしたせとかは他の柑橘栽培同様に鉢植えしてビニールハウス内で栽培することにしました。
使用する鉢と土はレモン栽培で使うものと同様です。オリジナルの土は多めに作っていたため役立ちました。
この鉢や土の話は「レモン日記」内の記事で紹介していますので興味があれば読んでみてください。
枝の誘引
せとかの状態は悪く、葉や枝が虫に食われていたり枯れ始めていたりしました。又、樹形も全体的に中央に寄っており光合成しにくいと感じます。
より太陽の光が当たるように、効率的な光合成ができるように枝を麻紐で引っ張りました。
現状は生長させることを優先として剪定は行いません。全体的に枝を開かせるように誘引していきます。
今回は麻紐を使って誘引しました。麻紐は耐久性が少し弱いですが安くて使いやすいためおすすめです。アスパラハウスではハウスベルトを使ったりしますが、誘引に使うには太すぎます。細いビニール紐は紫外線ですぐにボロボロになるためおすすめできません。結局は麻紐が一番いいです。
枝に麻紐を引っかけたら鉢の穴に通して結びます。うちで使用している鉢は全て穴があるためここに通しています。
ちなみに上の写真はレモンです。せとかではありません。せとかを誘引し終わっていたため近くにあったレモンで誘引の写真を撮りました。
鉢に穴が開いていない場合は鉢の外周を麻紐で結んでそこから誘引する方法があります。
だいたい2周ほど巻いてから結びます。ここに麻紐を通して枝を引っ張ります。
枝が重なりあって光が当たらないと感じたら必要に応じて誘引していきます。
ひこばえ
余談ですが、柑橘の苗木はだいたいが「接ぎ木」で販売されています。その中でもカラタチと呼ばれるトゲの強烈な木が台木に選ばれていることが多く、時おりカラタチの性質を持った枝が生えてきます。
このトゲ枝は不要ですので切り落としても問題ありません。私はこのトゲ枝をカラタチの枝と呼んでいますが、柑橘の栽培書籍では「ひこばえ」と呼ばれていました。どちらにせよ不要な枝ですのでカットします。
ちなみにこの枝は台木から栄養分を使ってどんどん生長していきます。なるべく早期に切り落とすのが望ましいですが、発見が遅れると大変なことになります。
もふもふ農園の柑橘類は鉢栽培で、水やりは一括給水を採用しているためあまり生長具合を確かめにいきません。今回は久々にキンカンハウスに行きましたがトゲ枝が生長していました。
これが成長したトゲ枝(ひこばえ)です。
トゲが強烈でもはや武器です(笑)軍手くらいは簡単に貫通します。枯れてもトゲは鋭いままでした。
早期に気付ければ余計な養分を使わなくて済みますので定期的に状態を確認する必要があると感じました。この強烈なトゲで果実や葉なども痛める原因となりますので必ず切り落とすようにします。
途中経過2022.10のせとか
さて、あれから時は流れ2022年の10月となりました。せとか救出劇から8か月ほど経った現在の姿がこちらです。
葉っぱは鮮やかに、果実もたくさんできました。春にはせとかの花がたくさん咲き、摘花を行いました。その後は小さな実が30個ほどついたため摘果をして10個の実に絞りました。せとかは果実へエネルギーを送る力が強いため実をつけすぎると樹勢が落ちて弱ってしまうため注意が必要です。
ミカンサイズの果樹は果実1個に対して約25枚の葉っぱが必要と言われています。それを参考に摘果を行いました。
せとかの栽培記事を読んでいると冬に果実の収穫を行うため露地栽培ではうまく収穫できないそうです。果実が低温にやられてスカスカになってしまうことや寒さでうまく育たないようです。
露地せとかはまだ残っているため近々せとか救出第二弾を行っていくことにしました。
今年はせとか1本から約10個の果実を収穫、来年は15個と少しづつ収穫量を増やしていけるように栽培を頑張ります。
途中経過2022.11のせとか
今回救出したせとかはかなりの頻度で様子を見に行っています。鉢に草が生えていたらすぐに抜いたり、モミガラくん炭を投入したり、摘果をしたり枯れた枝はすぐに除去したりしています。
その効果もあってか病害虫の発生もなく葉っぱが綺麗で生育状態も良好だと感じています。
11月には果実が色づき、収穫も近くなってきました。露地では病害虫の発生が多く、うまく栽培ができませんでしたが、ビニールハウス栽培に変更してからは樹勢が回復するのがはっきりと分かりました。
余談ですが1つ気になったことがあり、2022年のこのハウスせとかはアゲハ蝶の幼虫による食害が1回もありませんでした。露地せとかは食害を受けてボロボロでしたがこちらの食害はまさかの0。何か理由がありそうです。
このせとかの周りは鉢栽培で「不知火」「デザートライム」「姫レモン」が配置されており、その全てにアブラムシやハモグリガやアゲハ蝶の幼虫やカイガラムシのいずれかが発生していました。
偶然なのか他の果樹が近いことが関係しているかは現段階で不明ですが来年以降も様子を見ていきたいと思います。
ちなみに新規で始めたレモンはハモグリガとカイガラムシ、すす病が発生してしまいました。せとかにも飛び火するか焦っていましたが、結果的に無事でした。定番病害虫でもあるため引き続き注意していきます。
せとかの収穫
2022.11.19せとかの果実がより色づき、お店で販売されているものと同様の色になりました。収穫タイミングはかなり早いですが10個ある果実のうち、1個を収穫して味見することにしました。
傷1つないとても綺麗な果実でした。ビニールハウス栽培の特権ですね。
今回11月中旬に1個収穫しましたが、99%酸味が残っていると思います。分かっていても試したくなります(笑)(毎年、不知火やポンカンが色づいたら1個味見して、酸味が強いのをしっています。減酸したり樹熟させたら美味しくなるのも知っています(笑))
せとかは皮がしっかりしているのでむきにくいです。とてもジューシーでしたがやはり酸味が強かったです。残った9個は樹熟せとかとして収穫するようにしていきます。
まとめ
もふもふ農園の鉢栽培に新しくせとかが加わりました。せとかは柑橘界の大トロと呼ばれるほど評価された果物で1個1,000円するものもあります。
しかし、栽培が難しく樹勢を維持しつつ毎年安定した量を収穫するには努力が必要です。
私はなんとしてでもせとか栽培を成功させ、毎年収穫して食べることを目標にしました。
せとか救出プロジェクトはまだまだ始まったばかりです。現状は2本救出し、残りは5本以上あります。農業研修を行いながら少しずつ救出して適切な管理を行っていきます。
皆さんもせとかを一度は食べてみてください。あまりの美味しさに驚くと思います。
今回も最後まで読んでいただき感謝です。
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