アスパラ日記|スリップス(アザミウマ)対策をがんばった話

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アスパラ栽培

こんにちは!管理人のすのうです。

今回のテーマは「スリップス」対策です。アスパラガスを栽培している方からすると定番の害虫ですね。個人的な考えですがアスパラガス栽培で発生する病害虫ベスト3は「スリップス・ヨトウムシ・茎枯病」です。特にスリップスには毎年悩まされています。ちなみにレモン栽培では「アゲハ蝶の幼虫・ハモグリガ・すす病」これがベスト3です。

今回はアスパラ夏芽の収穫をしていてスリップス被害が拡大していたため全部のハウスを防除し、少しでも被害が緩和されるように対策アイテムを導入しました。防除に関してはアスパラガスに使えてスリップスに効果のある薬剤を調べればいいため、記事内ではスリップス対策のアイテム紹介をメインで行います。

ちなみにアスパラガス栽培での無農薬栽培は非常に難易度が高く、ほとんどの農家さんはできないと思っています。うちでもアスパラ春芽まで(1月から5月)は農薬不使用で栽培できましたが6月は一気にスリップス被害が拡大しました。農薬も必要に応じて適切に使用する。このスタンスで栽培を行っています。

アスパラ栽培|スリップスとの戦い

うちのアスパラ収穫は2月頃から9月頃まで長期間にわたって行います。前半のアスパラ春芽は5月中旬頃まで行いそこからは親茎を立て始めて立茎期に入ります。立茎期間はかん水(水やり)を完全にストップして茎枯病を予防しつつ理想の位置で親茎を立てられるように間引き収穫を行います。

6月中旬ごろになると立茎もほぼ終わり順次アスパラ夏芽の収穫が始まります。ハウス内は親茎でもっさりして枝や葉が混み合います。混み合った場所は病害虫の大好物。だいたいこのシーズンは病害虫に注意が必要ですね。

今年はヨトウムシの被害はかなり少ないのですが代わりにスリップス被害がかなり深刻で収穫したアスパラの7割ほどが被害を受けていました。本来であれば発生初期に防除することが望ましいのですが、うちは個人農家で作業がカツカツ・・・麦刈りに豆植えの準備、果樹の手入れ、草刈り、アスパラ作業では整枝と摘芯など。被害が出ていると分かっていながら手がつけられませんでした。

ではスリップス被害を受けたアスパラを見ていきましょう。

アスパラの鮮やかな緑色は失われ、色も変色しています。スリップス被害のアスパラガスは見た目が悪く食味も大幅に悪くなります。例えるなら一般的に販売されているアスパラガスは端と端を持って曲げるとそこそこしなります。これが被害を受けたアスパラの場合は曲がりません!きゅうりくらい曲がりません(笑)

収穫ハサミで切った場合、通常のアスパラであればイメージする効果音としては「サクっ」や「ちょきん」と言うみずみずしい音ですが被害を受けたアスパラは「ザクっ」や「じょきん」的な音になります。

当然ながらアスパラを包丁で切るのも同じです。硬い野菜を切るようにザクザクします。

みずみずしいアスパラをここまで変化させるスリップスとは何者なのでしょうか・・・

害虫スリップスとは

スリップスには多くの種類があり日本だけで150種類以上とも言われています。今回アスパラガスに被害を与えているのはネギアザミウマと呼ばれる品種と考えています。

この害虫はとても小さくぱっと見ではよく分かりませんが気づいた時には大発生して被害も拡大しています。アスパラハウスに入った時、よく分からないけれど小さな粒のような虫がたくさん舞ったり黒い服に白い粒がかなりつくようなことがあったら・・・それはスリップスなのかもしれません。

この害虫が厄介なのは繁殖スピードと卵の状態で薬品が効きにくいことです。卵から成虫のサイクルが早く2週間から3週間程度で1サイクル、たくさんの卵を産み次の世代に進みます。薬品も卵の状態では効きにくく、合わせて立茎期のアスパラハウスにスプレーガンで防除しても全てをカバーしきれません。薬品がかからなかったエリアで生存した害虫が再び繁殖していきます。

ちなみにこの害虫は植物の汁を吸うタイプの害虫です。カイガラムシやアブラムシなども同じですが1匹1匹の力は弱くてもたくさん集まって食害されるとかなり厳しいです。アスパラガスの若茎は約93%が水分と言われておりこのみずみずしい状態が失われるとゾッとします。

スリップス被害はうちの管理している16ハウス全てで発生しており第一段階として全てのハウスを薬剤で防除しました。

スリップス対策|補虫器

薬剤防除に加えて取り入れるのは「補虫器」です。今回は過去から使っているアザミウマ補虫器と吸引式LED補虫器を更新しました。

設置するハウスの数が多くかなりの労力でしたが効果が確認できれば良いと思います。

アザミウマ補虫器

正式名称は「誘引式アザミウマ補虫器 CAZ-100」です。1セットの内容として3つのパーツを組み合わせて本体を作り、下部にアザミウマを引き寄せるアザミンと言う薬をセットします。アザミンにはスポンジストローのようなファイバーロッドと呼ばれるものをさします。最後に本体に粘着シートを取り付けて完成です。

※商品を探しましたが型番がCAZ-110になっており新しくなっているようです。

設置は10aあたり10台が目安とのことでうちのビニールハウスで言うと1棟あたり3台から4台くらいになりそうです。過去に設置した時は1棟3台で設置していました。

こちらは過去に設置していた補虫器です。

年季を感じる風貌になっていますね(笑)確か4年くらい前に導入したような気がします。アザミウマを引き寄せるアザミンはだいたい3ヶ月くらいでなくなりますので今後は毎年6月くらいに更新していこうと思います。

粘着シートも本来であれば写真のように補虫器のシートガイド(粘着シートの穴と補虫器の突起を合わせる)に沿って1周巻くだけで簡単にセットできます。ちなみにこのセットに入っている粘着シートは手がベトベトにならず嬉しいです。

(最近、ブドウ棚にホリバーイエローを設置しましたが手がベトベトで大変でした。)

こちらが更新した誘引式アザミウマ補虫器です。

粘着シートは贅沢に2枚使いました。理由としては補虫範囲を広げたかったことと黄色と青色の効果の違いを見たかったためです。この写真で言うならば青色の粘着シートが正しい取り付け方法で黄色の粘着シートは贅沢使いです。

このアザミウマ捕虫器は組み立ても簡単で本体は3パーツで構成されており、ねじ2で固定するだけです。

LED補虫器

正式名称は「吸引式LED補虫器 スマートキャッチャーCLF-500」です。

こちらは専用アダプターのついた電源式の捕虫器で目玉が飛び出るほど高価な買い物でした。あまりの金額に2台だけ購入して効果を確認し、購入金額以上に価値があると判断したら追加購入をしていこうと思います。

※こちらも新しい型番でしたCLF-700と書いていました。

構造としてはLEDが光って虫を誘き寄せ、吸引ファンから虫を吸い込んで下の捕虫袋で捕まえます。捕虫袋には粘着力のあるシートを入れて捕虫具合を確認できるようになっています。

設置は5aくらいに1台が目安とのことで1棟に1台あれば足りそうです。

この商品の気になった点は捕虫実績でアザミウマをはじめコナジラミ、キノコバエ、ハモグリバエ、ヤガなど多くの害虫が捕まえられそうです。

注意点としてはACアダプターに水がNGと言うことでアスパラハウス内は今後かん水の機会も多くなり湿度も高くなります。水への対策を今後そうするかが課題と言えます。

効果の確認

どれくらいの効果があったのか確認してみました。検証タイミングとしては全てのハウスを薬剤防除して捕虫器を設置、次の日に結果を確認としました。時間的には24時間くらいで確認することとなりました。

最初は誘引式アザミウマ捕虫器です。

先ほどの紹介写真と同じですみません・・・こちらは設置から1日後の写真です。どちらかというと黄色の粘着シートの方がたくさんついていますね。

薬剤散布の1日後でもやはりつくものですね。

続いて吸引式LED捕虫器です。

写真中央の黒っぽいモヤっとしたものが1日で入った虫の量です。高価なアイテムだけあって捕獲量は通常の捕虫器の2倍以上に感じました。

まとめ

今回はアスパラ栽培の強敵スリップス対策について記事を書きました。

発生初期に対処しないと被害はすぐに拡大し、収穫したアスパラのほとんどが食味低下・見た目が悪くなります。年間を通して発生しやすいタイミングがあれば予防的な防除も行う必要があり品質の高いアスパラガスを栽培するためにも薬剤散布は大切だと思います。

薬剤散布のタイミングをつかむために捕虫器を使うこともアリだと思います。捕虫器だけではハウス全体をカバーすることは厳しいためある程度の数が確認できたら防除の計画を立てるなどして被害を最小限にしていくこともいいですね。

うちでは新たにLED捕虫器を導入しました。1個あたりの金額が高く全てのハウスに設置することはできませんでしたがそれなりの手応えを感じました。電気を使うものですので扱いも慎重にして正しい使い方で問題のないようにしていきます。

ちなみに取り付け方法として商品に同梱されていた紐を使ってハウスの支柱から吊り下げるようにしましたが針金を使って固定することもできます。うちの場合、手の届く範囲に紐で吊り下げられそうな場所がなければ写真のような針金で固定しました。

アスパラ以外でもスリップス被害は存在しますので被害に困った方がいれば捕虫器の導入も視野に入れてみてください。ちなみに私は趣味でミニトマトの栽培(適当素人栽培)をしていますがこちらもアザミウマ被害が出やすいそうです。

アスパラガスは魅力的な野菜です。栽培の難易度としては高いと感じますが手入れをしっかりすれば栽培初心者でも収穫できます。私が試しに60Lの大型鉢でアスパラ栽培した時は2年目で収穫までできました。アスパラ栽培やアスパラの雑談に興味があれば過去にたくさんのアスパラ記事を投稿しており記事をカテゴリー「アスパラ日記」にまとめています。

アスパラを苗から育てた栽培記録やアスパラの植え替え、アスパラレシピなども投稿していますので興味があれば記事を選んで読んでみてください。

最後になりますが趣味でブドウ栽培しているエリアに粘着シートを設置しました。小さなコバエのような虫がたくさん捕獲できました。

よりベタベタするホリバーイエローを使いました。とにかく粘着力がすごくて取り付けで手がやられました(笑)

今回も最後まで読んでいただき感謝です。

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