こんにちは!管理人のすのうです。
今回のテーマは「ハンター」です。柑橘に限らず、農産物を栽培していると悪さをするもの要は「害虫」問題が出てきます。パッと出てくる害虫で言えば葉物野菜を食べつくす芋虫系が思いつきますね。
柑橘類でも芋虫系の害虫は発生します。アゲハ蝶(ナミアゲハ)の幼虫は柑橘の葉っぱが大好きで、気付くのが遅れてほとんど葉っぱを食べられてしまったと言う話も聞きます。薬を使って駆除するのも一つの手ですが、無農薬栽培であれば地道に捕まえるしかありません。
今回は、薬を使わない害虫駆除をテーマに記事を書きたいと思います。ちなみにここまで芋虫系を説明していますが、今回テーマとする害虫は「アブラムシ」です(笑)
※今回の記事内では虫の写真が多く出てきます。苦手な方は写真は飛ばし気味で読んでみてください。そこまで虫をアップにした写真はありませんのでご安心を。
アブラムシとハンター
皆さんはアブラムシと言う虫を知っていますか?農産物を栽培している方はよく知っていると思います。繁殖力が非常に高く、気付いた時には葉っぱにびっしりついているあいつです。
簡単にはなりますが、アブラムシの特徴を説明しておきます。
アブラムシってどんな虫?
アブラムシは植物に張り付いて口から針を出し、植物の汁を吸います。一匹一匹は小さくて被害も大きくありませんが繁殖力が非常に高いため、数十~百匹単位の群れで植物の汁を吸います。
植物の汁を吸うと言うことは植物の栄養を奪い、樹勢の低下に繋がります。葉っぱの少ない苗木や栽培年数の浅い植物の場合、気付かないまま放置すると最悪の場合は枯れてしまうこともあります。
厄介なのが、植物の汁を吸うと言う直接的な被害以外にも間接的な被害があります。
間接的な被害とは「ウイルスの拡大」と「すす病」です。
ウイルスの拡大(媒介)とはウイルスに感染した病気を持った植物にアブラムシが寄生して汁を吸う→別の植物に移動して汁を吸う。これによってウイルス感染が広がり、健康だった植物に病気が拡大していきます。
すす病とは、特に果樹栽培をされている方は知っていると思います。アブラムシやカイガラムシの排せつ物に空気中の菌が付着してすすが付いたような状態になる症状です。ちなみにこのすす状のものは拭き取って綺麗にすることができます。しかし、原因となる害虫を駆除しない限りすす病は消えず、被害は増えていきます。
もふもふ農園のデコポン(不知火)でもすす病が発生し、最後の最後まで薬品による害虫駆除をためらった結果、10年以上栽培したデコポンの木が1本枯れました。被害が出て、対処できないと感じれば無農薬にこだわっている方であっても薬品を使った方が良い…そう思います。(今回の原因はアブラムシではなくカイガラムシでした)
余談ですが、アブラムシやカイガラムシの発生している場所にはアリが多いです。理由としてはアブラムシが排泄として甘い汁を出す・アリが甘い汁を貰ってアブラムシを守る。そのような関係になっているからです。
アブラムシ単体では弱いため、報酬を支払ってアリを使って身を守る。良くできたwinwinの関係ですね。
ハンターって何?
テーマにもありますが、「ハンター」について話をします。ハンターとは、その名の通り特定の害虫を狩りする虫などの事です。今回に当てはめると害虫「アブラムシ」を狩る虫ですね。
そんなアブラムシハンターがこちらです。
この写真で何の虫か分かった方はすごいです。むしろ見た目ではこいつも害虫?って思いそうですが、これは害虫ではなく益虫ですね。
テントウムシの幼虫です。テントウムシは幼虫だけでなく成虫も優秀なアブラムシハンターで有名で、バクバク食べて群れを壊滅させるほどです。
テントウムシの成虫で馴染み深いのは背中に七つの黒紋を装ったナナホシテントウや、よく見かけるナミテントウです。
テントウムシの素晴らしいところは種類によって様々なハンターがいることです。例えばカイガラムシを食べるアカホシテントウやハダニを食べるコクロヒメテントウ、ウドンコ病の菌を食べるキイロテントウなど優秀なハンターだらけです。
※注意点として、全てのテントウムシの幼虫がアブラムシハンターではありません。中には草食で植物の葉っぱを食べる種類もいますのでご注意を。
ハンター投入とその後
アブラムシの大量に発生した柑橘の木にテントウムシが止まりました。意図的にテントウムシを置いたわけではなく自然に飛んできました。
そこから柑橘の様子を毎日見てきましたので結果を報告していきます。
テントウムシは数日で飛んでいきましたが、葉っぱの裏に卵がありました。細長い卵がたくさんついており、ぱっと見では害虫の卵?と思いました。
そこから数日後、よく見るとテントウムシの幼虫が10匹ほど生まれており、走り回っていました。餌(アブラムシ)を求めて走り回っており、これほど活発に動くのかと驚きました。
そんな中、ある疑惑が…
この虫がテントウムシの幼虫と言う認識はありましたが、葉っぱを食べるのか?と焦ってきたため、ネットで調べました。
この幼虫はナミテントウで間違いなさそうで、肉食のため葉っぱは食べないとの結論に至りました。これは休憩しているだけで葉っぱは食べていない!そう結論を出しました(笑)
※次の日も葉っぱの状態は同じだったため食べてなさそうです。
そしてアブラムシハンターが生まれてから約1週間後、気が付けばアブラムシもテントウムシもテントウムシの幼虫も消えていました。ハンターとしての役目を終え、別の場所に移動したのだと思われます。
農薬に頼らない栽培方法が見えてきた瞬間でした。現実的には安定してテントウムシをとどめておける環境やテントウムシの天敵(ハンター)対策、アブラムシがいなくなった後の管理など課題もありますが、実際にハンターとしての効果が感じられました。
結論:テントウムシ(幼虫含む)は優秀なアブラムシハンターだった。
ここからはアブラムシ以外の害虫を少し説明しておきます。
露地柑橘と害虫
もふもふ農園には露地果樹エリアがあります。メインは鉢栽培ですが、一部は露地植えし、レモン・せとか・キウイ・ポポー・キンカンライム・イチジク・ドウダンツツジなども植えています。
気温が高くなってきた5月頃は害虫シーズンでアブラムシだけでなくアゲハ蝶の幼虫やダンゴムシも大量発生します。
※ダンゴムシは見方によっては益虫ですが、大量発生したら害虫だと思ってます。
できる限り無農薬栽培を心がけており、アゲハ蝶の幼虫は見つけ次第、処理しています。
時には虫取り網を片手にアゲハ蝶を捕まえる、リアルどうぶつの森状態にもなっています(笑)ここの果樹エリアは栽培年数が浅いため、特に害虫に敏感です。葉っぱがたくさんあれば十枚や二十枚くらい葉っぱが食べられても大丈夫ですが、2年生クラスの苗木には致命傷です。
アゲハ蝶(ナミアゲハ)被害
露地果樹ではありませんが、鉢栽培の果樹でナミアゲハによる食害が出ました。
やつらは食欲旺盛でモリモリ葉っぱを食害します。ナミアゲハは最初は黒っぽい幼虫ですが、成長すると緑色の大きな芋虫になります。アゲハ蝶の幼虫と言えば緑色のアイツですね…ちなみに私はこの幼虫がものすごく苦手です…
いっそのこと薬で防除したいと思うことも多々あります。もしくは果樹園全体を防虫ネットで覆うことも考えてます。
ではナミアゲハの幼虫を確認しておきましょう。成長した緑色のやつは心理的に撮影できませんでしたので黒っぽいやつだけ紹介します。
黒に一本ラインの入った芋虫…こいつがナミアゲハの幼虫です。最初は米粒クラスの芋虫ですが徐々に大きくなり、成長につれて食べる量も増えてきます。昨年のイメージでは秋頃まで悩まされた記憶があります。
ちなみにナミアゲハの幼虫のハンターは蜂や鳥です。露地果樹エリアは定期的なパトロールと鳥で対処していきます。
ひどいときは柑橘の木1本に10匹以上の幼虫がいました。放置するとあっという間に葉がなくなるため定期的なパトロールが必須です。
ダンゴムシについて
最後にダンゴムシの話をしておきます。
ダンゴムシは落葉や枯れた雑草などを食べて土をふかふかにします。ここだけ聞けば益虫で増やしたい虫だと思いますが、増えすぎたダンゴムシは悪影響を及ぼします。
例えばうちのメイン作物「アスパラガス」ですが、茎をかじられてボロボロになります。時にはアスパラ1本に数十匹のダンゴムシが群がって跡形もなく食べられてしまいます。
そんなダンゴムシは繁殖力があり、気が付いたら群れになっています。もふもふ果樹園でも最初はほとんど見なかったダンゴムシですが、今ではマルチをめくったらたくさんいます…
今のところは食べ物(有機物マルチ)があるためか果樹の木に目立った被害はありません。今後も様子を見るようにして、被害が出れば迷わず対処していきます。
余談ですが、うちのマルチは有機物マルチをできる限り行いたいと思っています。一般的な黒マルチの方が虫が隠れる場所がなく良さそうに思えますが、自然に戻っていく有機物を使いたいと思っています。
定期的に有機物をチャージしたり時には風で飛ばないように対処したりする必要がありますが生育状況が違う気がします言い方を変えれば土が肥えている。これは年数を重ねていくとより差が出ると思います。個人的に思う土が肥えているポイントは有機物マルチの下を軽く掘った時にたくさんのミミズが出てきます。ミミズが多い土壌は作物がよく育つと言いますが、本当だと思います。
様々な生物の力を借りて、土作りを行っていきたいと思います。
まとめ
アブラムシやナミアゲハなどは害虫と呼ばれ、作物に悪さをしてしまいます。発生した害虫を駆除するのは簡単でホームセンターなどで簡単に駆除用の薬が手に入ります。
私はできる限り無農薬で栽培したいと思っていますが、時には薬品防除も必要だと思います。10年以上栽培してきたデコポンの木がカイガラムシによって枯れた時、改めて思いました。
そんな中、薬品に頼らないハンターの存在を知って、タイミングよくテントウムシがやってきたため、観察・観察結果を記事にしてハンターを発信しようと思い記事を書きました。
時間はかかりますが確かにアブラムシはいなくなり、薬に頼らない害虫駆除を確信しました。時と場合によりますが、今後もこのような栽培をしていけたら良いと思います。
記事の途中で出てきたカイガラムシに関して、過去に歯ブラシを使って地道に駆除した記事を投稿しています。結果的に木を守れず枯らしてしまいましたが、カイガラムシに対してはそのような薬品を使わない対処もあります。
もふもふ農園では2021年の12月から新規レモン栽培をスタートしています。70本を鉢栽培、2022年の4月には露地にも植え、レモン栽培に力を入れています。レモン単体の栽培をまとめたカテゴリー「レモン日記」にて各作業を紹介していますので、興味があれば記事を読んでもらえると嬉しいです。
農業は日々勉強です。これからも努力していきます。
今回も最後まで読んでいただき感謝です。
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