こんにちは!管理人のすのうです。
今回のテーマは「副業」です。アスパラガスを栽培して利益を得る。そんな「アスパラ副業」は成り立つのか!?この点を考えていきたいと思います。
なぜアスパラなんだ?
大変さを知ってるからです。
結論から言います。「あまり現実的ではありません」もちろん、本業の勤務時間や休日の過ごし方はみなさん違います。向いている人もいれば不向きな人もいる。私はほとんどの人が向いてないと思っています。記事内で理由を説明していきます。
アスパラ農家は大変です。収穫・出荷・管理やることがたくさんです。よく「アスパラは何もしなくても生えてくるから楽だね」と聞きますが、肥料や水の調整・雑草の除去・温度管理などをしているからこそ良いアスパラが収穫できます。
個人的にはアスパラ栽培の難易度は高いと感じます。
アスパラ副業のメリットはないのか?
アスパラ副業に限らず、一般的な副業で農業、いわゆる「兼業農家」のメリットはもちろんあります。
副業で農業「兼業農家」のメリット・デメリット
ポジティブにメリットの話からしていきます。
兼業農家のメリット
まずは自分で野菜を栽培するので安全な野菜・新鮮な野菜を食べられます。栽培を通して、その野菜に詳しくなったり別の野菜を栽培してみたい気持ちになり、新しい道が開けます。自分で種から育てた野菜を収穫して食べる!すごく達成感がありますよ。
また、兼業農家ですので本業の収入源があります。収入を確保したうえで農業にチャレンジできる。失敗しても本業が残りますので精神的に余裕があります。これは兼業農家ならではのメリットですね。
兼業農家のうちに作る農作物・販売先・加工品などのプランを考えて、行動に移してみる。成功したら徐々に農業の比率を高めて本格的に農家デビューする。リスクを減らした方法です。
儲けを考えない農業もメリットがあります。本業で疲れた心をリフレッシュする週末農業スタイルです。今回のアスパラ副業だと週末のみは厳しいので無理ですが、本業とは全く違うことをしてみるのも楽しいです。自分のやりたいときに自分のペースで「土いじり」をします。儲けを考えないので純粋に農業を楽しめます。
私は親孝行も兼ねて農業に携わっています。
本業とは全く違う「農業」は新鮮でとても楽しいです。
普段の本業がデスクワークや同じ姿勢の立ち仕事だったりすると、体を動かす農業はいい運動になります。運動不足の解消に役立ちます。
収穫の達成感はたまりません。
最近は「兼業農家」や「副業農業」「週末農家」のワードをよく聞きます。その効果もあって、全国各地に農業体験の施設や農家さんが増えています。頭に農業がよぎったら農業体験を視野に入れてみてもいいですね。ひとまずやってみて続けられそうか試してみましょう。
ではデメリットです。
兼業農家のデメリット
大きな問題点は「農地」です。私のように実家が農家の場合や知り合いが農家の場合は話が早いです。お互いに知っている関係ですのでスムーズに話ができます。
もふもふ農園に研修行くわ。
分かった。仕事作っとくわ。
こうなるのは少数です。ほとんどは「農地探し」から始まります。兼業農家として農地は「通える範囲の場所」であることが重要です。朝の出勤前に農場に行く、本業の帰宅後に農場に行くことを考えると近場を探す必要があります。
良い場所に「農地」が見つかったとしても安心できません。そもそも買えません。
農地を購入するには「農業従業者」として一定の信用(購入資格)がなければ買えません。これは農地法第3条で定められています。簡単に言うと原則「農地は農地法で農家同士の売買」しか許されていません。
農地を購入するなら「農家」になれ!ということですね。そして農家になるには在住の市に営農計画書の提出などが必要となります。
厳しい理由は農地を悪用・不正利用されないためでもあります。
では兼業農家をしたい場合、どうやって農地を見つければいいのでしょう…基本は「借りる」です。「購入」するのが農家しかできないなら「借りる」しかありません。新規就農者はまず農地を借りて、数年農業を行って軌道に乗ってから購入する。これが基本の流れです。
新規就農者?兼業農家は?
農業の疑問や障害は「市町村農業委員会」又は「農地保有化合理化法人」に確認しましょう。ここで、この場合は〇〇です。この場合は△△です。と言っても、市町村農業委員会などの意見が正しいです。やる気が出たら相談しましょう。
そして栽培したい農作物の知識が必要です。農地が見つかり、栽培する野菜も決めた。しかし肝心の栽培方法を知らなければうまく育ちません。土壌をどうするか肥料をどうするか、畝は?水やりのタイミングは?知っておくべきポイントは多々あります。
最近はYouTubeやネットで栽培方法の情報量も増えています。昔に比べて困ることは少ないかもしれませんが、それでも知識はあった方がいいです。
人脈も大切です。要は農業仲間ですね。農家は横のつながりが大切です。自分1人の知識量より複数人の知識の方が優れています。アドバイスをもらえたり実際に手伝ってもらえたりするので、人脈作りはした方がいいです。もし、一人で黙々と農業を考えている場合、考え方を変える必要があるかもしれません。
別にいいだろ。好きなようにやれば。
もちろん、自分で試行錯誤して栽培するのも楽しいと思います。関わりを持たずスローライフを満喫できます。しかし…今回のテーマが「副業」での兼業農家ですので効率的な利益を考えると人脈作りも大切です。
デメリットの話長くね?
まぁまぁ。
では本題の「アスパラ副業」を考えていきましょう。
アスパラ副業ってあり?
アスパラガスを栽培したい!そう考えた方に最初の壁です。
収穫までの期間
アスパラガスがまともに収穫できるのは3年目からです。最初の2年はアスパラ株を成長させる必要があります。それまで水やりや肥料・雑草除去・防除など多くの作業が必要です。つまりアスパラ副業が軌道に乗るまで最低3年かかるということです。
もふもふ農園で2021年3月に植え付けたアスパラ株PA050です。このアスパラ株がまともに収穫できるのは2024年ですね。長期的な見通しが必要です。
収穫できる年数
いきなり壁だったのでメリットも伝えておきます。アスパラ栽培は最初の土壌改善をしっかりと行い、管理を怠らなければ10年以上収穫ができる多年生の野菜です。もふもふ農園のアスパラ株で最も古いものはなんと平成元年(1989年)植え付けです。30年以上収穫できています。欠株が増えたり、茎が弱くなってきたため、新規アスパラの植え付けが必要かもしれませんが収穫できているのはすごいです。
30年以上のアスパラ株です。ひどいところは、このようにアスパラ株が生えない欠株状態になっていて、アスパラの茎も弱々しいです。それでも収量があり、収入につながっています。ちなみに長期的に収穫したいならビニールハウス栽培がおすすめです。天候に左右されないメリットや病気になりにくいメリットもあります。
土壌改善が必要
では次の壁です。「土壌改善」が必要です。
アスパラ栽培で特に大切なポイントは「水はけ」と「日当たり」です。アスパラは毎年根を広げて成長します。根は1m以上になり横方向・下方向に広がります。そのため排水性のいい土壌に改善していきます。春頃に定植(植え付け)しますが前年の秋ごろに土を掘り、肥料や藁などで土壌改善を行います。もふもふ農園ではユンボを使い深い穴を掘って稲わらや肥料・豆殻などをふんだんに入れて土壌管理を行いました。
この畝(うね)の下には豊富な栄養がつまっています。10年以上の収穫ができるように妥協は許されません。この事前準備がとても苦労します。
とはいえ、いきなりこの規模のビニールハウスはハードルが高すぎます。大規模なビニールハウスは1棟だけでも200万円ほどする高額な建物です。まずは小規模のビニールハウス・小さい土地でのアスパラ栽培から始めましょう。小さいものなら数万円から販売されています。もちろん機能や風通しを考えるとそれ相応の金額になります。
ちなみにアスパラ株は根を掘り起こし、別の場所に植え付ける方法もあります。
10株程度から始めて、少しずつ規模を拡大するのもアリです。時間はかかりますが、リスクを減らしてアスパラ栽培が始められます。
アスパラ株はポット苗で売っています。もちろん種からでも育てられます。アスパラを育てようと思ったら、まずは品種を考えていきましょう。
品種について簡単な記事を投稿しています。アスパラの品種って?と疑問が出ればこちらの記事も見てみてください。
品種によって差があります。自分の地域・栽培方法に合ったものを選びましょう。
ではアスパラ副業を始めたとしてやることをざっくり説明していきます。
アスパラ副業1年目
step① 土壌改善を行い、アスパラに合った状態にする。
step② 畝を作りアスパラを定植(植える)する。
step③ 水やりと雑草除去を適切に行う。
step④ 病害虫対策に適切タイミングで防除を行う。
step⑤ 株が成長したら倒伏防止対策をする。
step⑥ 冬になって葉が黄色くなったら全て刈り取る。
step⑦ 焼却して病害虫や菌を消す。
step⑧ 肥料をまく(2年目)
ざっくりと1年の流れです。これを繰り返してアスパラの根を大きくしていきます。芯止め(摘芯)やアスパラ株の立茎手順なども作業として加わりますが、1年目は上記の作業と捉えて大丈夫です。
防除に「?」ってなった人がいそうだぞ。
では防除の説明をしておきます。防除は簡単に言うと「病害虫の駆除や予防対策」です。アスパラガスには他の野菜同様に病害虫や病気が存在します。病害虫が発生して何も対策していないと次期のアスパラ収量が低下したり、欠株の原因となったり重大リスクがあります。アスパラ栽培に於いて防除は必須です。
もふもふ農園では最近アスパラハウスにて「スリップス」が発生しました。スリップスと呼ばれる病害虫はアスパラの汁を吸って悪さをします。汁を吸われたアスパラは品質が低下してしまいます。病害虫の発生を確認したら早期に防除する必要があります。
副業として両立できるか?
本業あっての副業です。「本業の出社前・業務終了後・休日」どこまでアスパラ栽培に費やせるか。ここがポイントですね。私の見解では規模が小さければ余裕でできると考えます。出社前に収穫して出荷したり、帰宅後に収穫したり、時間も少ししかかかりません。しかし、「副業としての収入」を考えた時は話が変わってきます。
アスパラガスの単価は平均で1,000円/㎏前後です。1日1㎏収穫して月30,000円。半年間収穫できたとして180,000円…ここから経費がかかります。経費は肥料や水・梱包資材や防除品などですね。
せめてあと5倍は欲しいな!
1日5㎏まで目標を高くするのは現実的ではありません…アスパラの平均重量を25gとしたら200本「毎日」「半年間」収穫する必要があります。そしてアスパラは収穫に波があります。
14棟(14ハウス)回って約2㎏しか収穫できないときもあれば、20㎏や30㎏以上収穫できるピーク時もあります。平均5㎏を目指すなら10㎏以上の収穫時間も考える必要があります。
そして販売先も探す必要があります。収量に差があっても取引してもらえる場所探しです。アスパラは鮮度が命!ここも大事です。
ちなみにもふもふ農園ではアスパラ10㎏収穫するのに1時間~1時間半はかかります。夏アスパラを収穫する場合は非常に見にくく時間がかかってしまいます。
これが夏アスパラのハウスです。この森の中を進んで収穫できるアスパラを探します。「暑い・視界が狭い・肌が痒い・虫が出る」これを毎日「仕事前の早朝・仕事終わりの夕方」にするのは現実的ではありません。
私は週1回の研修なので苦になりませんが、副業で毎日アスパラ栽培をするならスパッと会社を辞めて農家になります。
収穫以外にも最初に伝えた防除・芯止め・かん水(水やり)・立茎管理・追肥などやることが多いです。厳しいようですが、アスパラ副業は現実的ではありません。
そろそろ話しをまとめようか。
まとめ
私はアスパラ副業は現実的ではないと考えています。
副業として理想の収入を手にするには並大抵の努力では足りません。3年目からやっと収入が確保できますが、同時に収穫が始まります。休日も収穫とアスパラ管理に時間が必要です。
「将来アスパラ農家になりたくて、本業で収入を得ながらアスパラ栽培を始める」これはアリです。3年間の株育生を本業の収入で乗り切る!理にかなっています。
ではポイントをまとめます。
基本的に「副業は厳しい」となってしまったので、最後に良い点のポイントもまとめます。
特に3つ目です!最初から「目指せ収入100万円!」と目標を高くせず、「美味しいアスパラを作るぞ!」この目標はどうでしょうか?できそうなら規模を大きくする。規模を広げて収入が増えたら農家になる。この方が現実的だと私は思います。
私の考えですので参考程度にしといてください。私はアスパラに興味を持って、アスパラ栽培をする・アスパラ農家になる。そんな人が増えたら嬉しいです。
長くなりましたが、今回も最後まで読んでいただき感謝です。
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