不知火(しらぬい)とポンカンは追熟するの?|疑問を調べてみた話

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もふもふ農園の小ネタ

こんにちは!管理人のすのうです。

今回のテーマは「柑橘の追熟」です。もふもふ農園では12月から不知火(しらぬい)とポンカンの収穫を始めています。収穫したばかりの果実は酸味が残っていますので、しばらく貯蔵して酸味を抜いていく作業を行っています。(樹上で完熟するまで収穫しない方法もあります)

収穫した果実は風通しの良い屋内で1週間から1ヵ月程度貯蔵後、直売所や飲食店に出荷したり自宅で食べたりしています。そこで疑問が出たのですが、貯蔵すると甘くなる仕組みや本当に追熟しているのかを調べてみようと思います。

ネットで「不知火 追熟」「ポンカン 追熟」などを検索すると記事がたくさん出てきます。追熟方法も載っており、だいたい直射日光を避けて風通しの良い場所に置いておくような内容でした。

一方で柑橘は追熟しないと書かれている内容もあり、追熟はしないが酸味を下げて甘みを感じやすくする方法はある。との情報もありました。(方法は追熟に書かれているないようと同じです)

今回の記事内ではうちの考えやネットの記事を総合的にまとめて考察しようと思います。柑橘を栽培されている方や購入した柑橘が酸っぱくてなんとかしたいと考えている方は参考にしてみて下さい。

ちなみに今回の該当柑橘は「不知火(しらぬい)」「ポンカン」です。

柑橘の疑問を調べてみた話

12月上旬、綺麗な色になった柑橘の収穫を始めました。

うちの柑橘は無加温のビニールハウス栽培です。付け加えるならポット栽培で給水ホースを繋いでいます。

メリットは水分の調整や肥料を効率的に与えることができ、ポット管理のため、枝が広がりすぎたと感じたら移動できます。又、ビニールハウス内で管理することで温度が高く露地柑橘よりも早く収穫できたり、風による果実の擦れや病害虫の発生も減少します。

ちなみに2022年は5月にカイガラムシ防除を行っただけで農薬の散布は1回でした。理想は農薬を使用しないことですが、病害虫の被害が拡大してどうにもならない場合は使っています。

そして、今回収穫をしたのは「不知火」「ポンカン」でどちらも美味しい魅力的な柑橘です。

不知火(しらぬい)

不知火を初見でしらぬいと読める人は少なそうですね。呼び名としては「しらぬい」や「シラヌヒ」がメジャーで糖度や酸味などの厳しい基準をクリアしたJA経由の「デコポン」(商標登録)と呼ばれるものもあります。

例えば、うちがJAを通さずに収穫した不知火をデコポンとして販売することはできません。糖度や酸味や見た目が完璧であったとしても不知火として販売するしかありません。ゆえにデコポンはブランド柑橘として認められています。

では、不知火を見ていきましょう。

これが不知火です。特徴としては頭がポコッと出ています。(出ないものもあります)

1個の果実がずっしりと重く、食べ応えのある魅力的な柑橘です。

特徴

大きさは一般的なミカンよりも大きく、うちの不知火で言えば1個がだいたい400g~450g程度のものが多いです。

味わいは甘みと香りが強く、酸味の少ないとても食べやすい品種です。一方で収穫タイミングによっては酸味が強く、収穫後は貯蔵して酸味を抜いてから出荷することが望ましいです。

特に不知火は減酸が遅い柑橘として知られており、後ほど紹介する予措によって適期まで貯蔵するのが一般的です。又、収穫後に貯蔵して酸味を抜くことが一般的ですが、樹の上で熟すまで待ってから収穫する「樹熟」と言う方法もあります。こちらは限界まで収穫を待つため樹の負担が大きかったり、タイミングを逃して果実が傷み始めてしまうことがあるので注意が必要です。

うちでも毎年少量の不知火は樹熟で収穫していますが、とても甘くて人気があります。栽培する地域にもよりますが露地栽培で樹熟不知火はなかなか作れないと思います。ハウス栽培ならではの特権ではないでしょうか。

ポンカン

ポンカンは漢字で凸柑(又は椪柑)と書きます。漢字からも分かるようにデコの柑橘ですね。そして実はデコポン(不知火)の親でもあります。1個の重量は150g~200g程度で小ぶりな柑橘です。

一般的なミカンに比べると皮が厚めですが、思っているよりもむきやすくて甘みが詰まっています。知名度はあまりない印象ですが個人的にはオススメの品種です。

果実の見た目も不知火同様に頭がポコっと出ています。(こちらも出ていないものもあります)

こちらが今回収穫したポンカンです。

頭の出ていないポンカンは見た目が完全にミカンですね。うちでは頭の出た綺麗なポンカンは他のものより少々高い値段を付けています。

不知火もそうですが、見た目はけっこう重要だと思います。

しらぬいとポンカンの追熟の話

本題ですが実際のところ、不知火とポンカンは追熟するのか?色々な記事を読んだ結果、その質問への私の見解は「追熟する」に至りました。

※今後も調べて、考えが違ったら記事を修正していきます。

では、私が調べた結果を書いていきます。

結論としては「便宜上、追熟と言う言葉を使っている」ように感じます。酸味の強い柑橘を一定の条件下で貯蔵することにより酸味と水分が減少して甘みをより感じるようになる。これが一般的に追熟と言われている内容になります。

追熟の意味を調べてみると「収穫後、一定期間置くことで完熟させること」と書かれていました。これに当てはめると酸味の残る不知火やポンカンを収穫して一定期間貯蔵し、減酸して食べごろにする。こう考えると「追熟」と言う言葉を使っても良さそうですね。

しかし、別の記事を読んでいると、柑橘の貯蔵に関しては「予措」と言う言葉を使い、あまり追熟とは書かれていませんでした。その記事では「予措を行うことにより高品質な果実に仕上げる」と書かれています。

予措?あまり聞きなれない言葉ですね。「予措」について説明しておきます。

予措(よそ)とは?

予措にはいくつかの意味合いがあり、柑橘予措の一般的なものでは「果皮の乾燥を目的とした乾燥予措」があります。方法としては収穫後の不知火やポンカンを風通しの良い場所で1週間から2週間程度貯蔵して果皮の水分を抜いていきます。この作業により果実の腐敗や果皮による果肉内の水分消耗を防ぎます。

収穫したばかりの果実は思ったよりも水分が多く、そのまま積み重ねて出荷すると痛む原因になってしまうため予措作業をして貯蔵性を高めたうえで出荷する。重要な作業です。

乾燥予措

うちが実際に行っている乾燥予措について説明しておきます。

貯蔵場所は農機具小屋の端で直射日光の当たらない場所です。

収穫した柑橘は折り畳み式のコンテナに入れて約1週間の貯蔵を行っています。コンテナ内の下部には新聞紙を敷き、収穫した柑橘を並べていきますが、1段までを心がけ、最大でも2段までの積み重ねを限度として並べていきます。

並べ終わったら新聞紙を上に置いて完成です。予措開始の日付を記入しておくと出荷の時期が一目で分かります。

ポンカンは1週間の乾燥予措後、酸味の残る状態で出荷やこの後説明する高温予措後に出荷しています。減酸が遅いと言われる不知火は1週間の乾燥予措をしてからボードン袋に入れて貯蔵を続けています。(乾燥予措1週間、ボードン袋1週間~2週間後に出荷)

収穫したばかりの不知火は特に酸味が強いため、次の写真のように綺麗な色であっても減酸のため貯蔵しておいた方が無難です。

高温予措

通常の予措では直射日光の当たらない風通しの良い場所で貯蔵しますが、予措の種類には高温予措と呼ばれるものがあります。

うちではポンカンに高温予措を行っており、方法としては20℃で3日程度貯蔵します。

これは今年から始めた予措方法になりますが、ポンカンの着色改善や高品質な果実に仕上げるには高めの20℃に設定した予措がベストなのだそうです。

20℃と言うと暖房を効かせた部屋くらいでしょうか。思っているよりもあたたかく、果実の腐敗が心配になりますが事前に乾燥予措を行っているため今のところ腐敗果実は出ていません。

皮の厚いポンカンや不知火はしっかりと乾燥予措の作業を行うことにより貯蔵性や品質が向上するためやるべき作業と言えますね。ちなみに昨年の話になりますが、収穫した不知火を1週間の乾燥予措後、ボードン袋に入れて2ヵ月ほど様子をみたことがあります。結果として、とても甘みを感じる高品質な果実だと感じました。出荷してからお客さんが食べることを考えると1ヵ月ほどで販売するのが良いとも思いました。

余談-柑橘の話-

柑橘農家と言えども知らないことは多いです。自分の中の常識が違ったり信憑性に欠ける情報が出回っていたりしていることがあります。

うちが収穫後に貯蔵していた作業は「予措」と言うものだった。ポンカンは高温予措をすると品質が向上する。このあたりは新しく知った内容でした。

今後も柑橘栽培をしていくため、もっと柑橘を知らなければならない。そう思ったので、みかんを買いました(笑)

有名な和歌山のみかんで実際に手に取って観察していきました。決してポンカンや不知火に飽きたからみかんを食べようと思ったわけではありません!

みかんを手に取ってみると良い意味でハリが無いと感じました。言うならばしっとりしている。熟成した感じがする。ブヨブヨしている。うまく言い表せませんが収穫してから日が経っているなと感じました。

もちろん腐っているわけではなく、甘みの凝縮された美味しいみかんでした。見た目はハリがありませんが、中の果実はみずみずしく何個でも食べられるほど美味しいです。

次に不知火を観察してみました。不知火とみかんでは皮の厚さから果実の大きさから全く違いますが、ひとまず観察です。

果実はみずみずしくハリがあり、とても新鮮に見えます。実際、収穫してすぐに食べるのですから超新鮮ですね。皮をむくたびに溢れる果汁、柑橘の良い匂いがあたりに充満します。フレッシュな香りでリラックス効果も高そうです。

皮をむくと白い部分がびっしりと付いています。最初のみかんはしっとりとしていたのに、不知火はハリがあります。収穫後の果実で新鮮ですが酸味はとても強かったです。恐らく糖度もそれなりにあると思いますが、酸味が強すぎてレモン寄りの味わいになっていました。1個食べ終わるころには舌がヒリヒリしていました。

1ヵ月以上貯蔵した不知火はしっとりレベルが増していき、甘みも強くなったため、購入した不知火やポンカンの酸味が強い場合は他を食べずにしばらく貯蔵しておくことをオススメします。(切ってしまったものは食べてしまいましょう)

1週間以上食べずに放置しても大丈夫か?と不安になりますが、果実に傷や痛んだ箇所がなければ大丈夫です。果実を重ねずに直射日光の当たらない風通しの良い場所で貯蔵して酸味を減らしてから美味しく食べましょう。

まとめ

私なりに調べた内容と見解をまとめると、柑橘は「追熟する」と思います。柑橘の追熟は「予措」と言う言葉が担っているとも思います。

収穫した柑橘は果皮を乾燥させて貯蔵性をアップさせる「乾燥予措」を行い、ポンカンは高温予措により着色改善・高品質化を狙います。

減酸が遅い不知火は1ヵ月以上の貯蔵期間を経て、十分に酸を減らしてから出荷することが望ましいと言えます。

購入者目線で考えると、購入した柑橘の酸味が強い場合はしばらく置いておくことで酸味が減少していき食べやすくなります。柑橘の糖度は収穫後は上がらないと言われていますが、貯蔵により水分量の減少・酸の減少が起こるためより甘く感じます。これを便宜上「追熟」と呼んでいます。

追記

2022年の12月上旬に収穫した不知火・ポンカンは酸味が強く、減酸のため貯蔵しておく必要がありました。12月中旬収穫は酸味が多少はマシになりましたがまだ甘いとは言えませんでした。12月下旬収穫になると酸味がかなり低くなり甘さが目立ちました。12月下旬にポンカンの糖度を測ると12度や12.5度あたりのものもチラホラ出てきました。

2023年の1月収穫になるとポンカンはほぼ酸味がなくなりました。甘さとコクをより感じられるようになりましたが、個人的には多少酸味が残っているほうが好きでした(笑)甘いポンカンは1月上旬・甘さと酸味バランスの良いポンカンは12月下旬が目安と感じました。

不知火は2023年1月には甘さと酸味のバランスが良く、減酸のための貯蔵がいらないレベルに感じました。糖度は12前後でもう少し糖度が上がればデコポンと同等の品質になりそうです。

追記②

2023年の1月下旬には不知火の酸味がかなり減少したと感じました。収穫してそのまま直売所へ出荷しており、このあたりが無加温ハウスの収獲適期なのかもしれません。1点懸念材料として、虫食い不知火が増えてきたと感じました。収穫した不知火を観察すると小さな穴が開いており、中には小さな芋虫が隠れていました。食害というよりも隠れるために不知火に穴を空けていると感じましたが10個収穫したら1個は穴あきくらいの割合でしたので次の収獲シーズンには何かしらの対策が必要かもしれません。

ちなみにこちらが2023年1月下旬の不知火です。色がより濃く赤に近づきました。

不知火が美味しくなってきた頃には近所のスーパーの不知火取り扱い量も増えていました。1個あたりの価格も下落しており直売所出荷の値付けを考え直さなくてはなりません。

新鮮さをアピールするためにひとまず、枝付き・葉付き不知火を出荷してみようと思います。

以上がうちの不知火報告です。

※無加温のビニールハウス栽培・うちの場合の話です。栽培している条件により変わってきますのでご理解ください。

今後も柑橘の勉強を続けていきますので、何か新しい情報があれば記事を更新していきます。

最後にポンカンや不知火の皮をむきやすくする便利グッズを紹介して終わりにします。

余談:ムッキーちゃん

ムッキーちゃんと言う商品を知っていますか?

不知火などの皮が厚い柑橘は手が疲れますね。爪の中に皮の繊維が入り込み柑橘臭くなります。(それが冬っぽかったりしますね(笑))そんな厚皮の柑橘に最適で皮とふさが綺麗にむける商品です。

対象の柑橘にムッキーちゃん上フタで切り込みを入れます。あまり力を入れなくても柑橘の皮が切れていきますので面白いです。切り込み部を開いていくと…

分厚い不知火もこの通り!とても綺麗にむけました。そして、このムッキーちゃんの凄いところはここからです。

柑橘の皮をむけるだけでなく、ふさも綺麗に切ることができます。

不知火などの1ふさが大きい柑橘を食べる時、ふさを切って中だけを食べる人がいます。(ちなみに私はふさごと食べます)

そんな場合もカバーする!それがムッキーちゃんです(笑)

下のパーツには刃が付いており、ふさを滑らすだけで綺麗に切れます。

これほどの性能があって、1個の価格は安いです。

おさらいです。ムッキーちゃんは上のパーツ(上フタ)と下のパーツ(本体)が合わさったホッチキスのような形状をしています。写真のものは上のパーツで皮をむくときに使い、下のパーツはふさを滑らせて皮をむく。ムッキーちゃん1個で厚皮の柑橘が食べやすくなります。

興味があれば商品ページも見てみてください。ちなみに私はムッキーちゃんを親族に配って普及させようとしています(笑)

実際、使いやすくておすすめですので、柑橘をよく食べる家庭には1個あっても良いのでは?そう思います。キレイに皮がむけるので不知火に字や模様を入れるチャレンジをしています。

今回も最後まで読んで頂き感謝です。

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