先人の知恵|落葉と米ぬかで踏み込み温床|良質資材作り

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もふもふ農園の小ネタ

こんにちは!管理人のすのうです。

今回のテーマは「踏み込み温床」です。皆さんは「温床」と言う言葉を聞いたことがありますか?醸熱材料(じょうねつざいりょう)や電熱で加温した場所を温床と言い、育苗に使われることが一般的です。例えば冬の寒い時期に植物はうまく生育できませんが温度の高い温床ならうまく栽培できます。

ちなみに醸熱材料とは有機物を詰め込み、その腐敗発酵によって発生する熱を利用する材料で、 今回の場合は有機物(落ち葉や米ぬかなど)を醸熱材料と言います。

説明がややこしいかもしれませんが、落葉を微生物に分解させ、発生する熱を利用する。これの場所作りをしました。ちなみに温床作りのメリットは単純に熱を利用するだけではありません。微生物が分解した落葉などの有機物は極上の資材(腐葉土)になります。

この踏み込み温床作りは先人の知恵として語り継がれ、今でも残っている農法です。今回は落葉と米ぬかで温床作りを行いましたが、稲わらと米ぬかで作ることも多いそうです。昔は寒い冬に温床を作って育苗し、完成した資材で土作りをしていた。農業が発展して機械化が進む中でもこのような農法が残っているのは嬉しいことですね。

では、先に今回の温床作りの過程を書いておきます。それぞれの作業は後ほど解説していきます。

今回はNPポットで温床を作ってみました。使ったポットは60サイズで柑橘ハウスの落葉と米ぬかの他にコーランネオ・モミガラ・モミガラくん炭・落ちていた柑橘を入れました。1層ごとにジョウロでたっぷりと水をかけ圧縮するように踏み込みました。最後は肥料袋で蓋をしてしばらく放置、2週間程度の間隔で全体を混ぜて完成です。

踏み込み温床作りは冬場に行い、完成した資材は春になったら活用しようと思います。今までは落葉を温床作りに使わず、畑に撒いていました。温床作りを実際にやってみて、どんな資材ができるのか楽しみです。

先人の知恵|踏み込み温床作り

今回行った温床作りは「踏み込み式」です。昔からある農法で先ほども書きましたが落葉などの有機物を踏み込み、微生物が分解する過程で発生する熱を温床として活用します。メリットはほとんどコストがかからずに育苗温床として活用できたり数ヵ月経つと良質な腐葉土になることが挙げられます。一方デメリットとしては発生する熱にムラが出ることや設置するまでに資材集めなどの手間がかかることです。

現在の技術では電熱線を使って温度を上げる「電熱温床」と言うものも活用されており、温度のムラがなく全体的に温められます。デメリットはイニシャルコスト(設備導入)とランニングコスト(電気代)がかかることですね。一度仕組みを構築してしまえば踏み込み式のように資材集めをする必要がなく、毎年の作業が楽になりますが電気代やメンテナンスの費用が発生するのでどちらを取るかですね。

落葉集めの話

2023年の1月の話です。もふもふ農園では果樹栽培に力を入れており、3棟のビニールハウスでポンカン・不知火・レモン・せとかなどの柑橘類を栽培しています。

今のシーズンは収穫が中盤から終盤で収穫を終えた樹から剪定作業を行っています。このタイミングでハウス内の清掃を行うのですが落葉が多く、何かに使えないかと思いました。

例年であれば落葉を集めて畑や果樹園に撒いていましたが、今年は何か新しいことをやろうと考えて踏み込み温床作りに辿り着きました。

使う材料も落葉と米ぬかがあればできるとのことでまずは落葉を集めました。

ハウス内の掃除も兼ねているため、落葉以外にも雑草やこぼれた土、落下した果実など様々な有機物も合わせて踏み込みました。

踏み込み温床作りを調べてみると鶏糞や稲わらや野菜の残渣などを入れてより良質な腐葉土にしておられる方もいました。試してみたいものも多いですがまずはシンプルにやってみます。(モミガラとくん炭が余っていたのでそれは入れました)

踏み込み温床の場所探し

温床の場所をどこに作るか。この点を考えてみました。

調べてみると畑の一角に設置したり、雨風の影響がないビニールハウスの一角での設置が一般的のようです。どうやら雨ざらしになることは避けた方が良いようで踏み込んだあとはビニールで覆って分解を促進させるとのことでした。

さて、温床の場所をどこにしようか?うちには畑もビニールハウスもあります。どちらに作っても良さそうですが使い道を考えてみることにしました。

踏み込み温床作りはどれくらい温床として使えるのか?完成したものは本当に良質な資材となるのか?この2点を調べたかったので特に使い道(何を栽培するか・どこに使うか)は考えていませんでした。

しいて言うなら以前から露地のせとかの鉢植え化を進めていたり、黒落花生を栽培してみたかったり、鉢植えアスパラを増やしてみようかと考えていたため、そこに活用できたら良さそうです。

畑やハウス内に温床を作っても完成した資材を運搬することは面倒です。ならば、いっそのことで踏み込み温床ができないか?こう考えました。

鉢(NPポット)での踏み込み温床作りはあまり詳細が書かれていませんでしたので成功するか不安ですが、落葉と米ぬかの層を作ることや踏み込むことは同じです。鉢でもできると感じましたので実際にやってみます。

今回使った鉢はNPポットの60サイズです。うちの果樹栽培で使っている鉢サイズで使い勝手の良いサイズだと思います。耐久性もわりとあり、ポンカンや不知火などは同じNPポットで10年以上栽培を続けています。一部は割れてしまったものもありますが9割以上は今も割れなく使用できています。今回はNPポットを使って踏み込み温床作りをやってみます。

踏み込み温床作り

落葉を集めて場所(NPポット)を確保しました。簡単な手順ですが、ここからは行ったことを紹介していきます。

まずは落葉を集めて運搬しました。

うちは果樹栽培をしているため落葉の確保は簡単でした。落葉の確保に困ったら公園の管理者と相談して落葉をもらったり、自治体の清掃でもらうことも1つですね。

ちなみに無断で公園などの落葉を持って帰ることは厳密に言えばダメなのですが、黙認される場合がほとんどなのだそうです。と言うのも落葉の処理・回収にはそれなりの手間と労力がかかるため落葉を持って行ってくれる人がいたらどうぞご自由に、となるわけです。

問題になる可能性を無くしたいなら許可を取っておくと安心ですね。

話を戻します。

集めた落葉は20Lの肥料袋に入れて運搬しました。鉢のサイズは60ですので肥料袋3袋を使って踏み込むことにしました。本来はもっと多くの落葉でしっかり場所を確保してやるものですが、少量でやりました。

集めた落葉を20L入れて米ぬかを入れます。今回は雑草堆肥作りでも使用したコーランネオも入れました。聞きなれない方もおられそうですが、コーランネオは一言で言うと「インスタント堆肥の素」です。米ぬかをベースにアミノ酸などが配合されており、良質な腐葉土作りや堆肥作りに使います。

主成分が米ぬかですが、このコーランネオとは別に米ぬかも入れていきます。

先ほども写真で説明しましたが、落葉と米ぬかを層にして踏み込んでいきます。

注意点として水をしっかりかけておきましょう。乾燥したままでは微生物の分解も進みませんのでたっぷりと水をかけてしっかり踏み込みます。

落葉・米ぬか(コーランネオ)を入れたら水をかけてしっかり踏み込み、次の落葉を入れていきます。2層目の落葉と米ぬかを入れたら再びたっぷりの水をかけて踏み込みます。今回は落葉と米ぬかを3層作りました。

※落葉と米ぬか以外にモミガラとモミガラくん炭が余っていたのでそちらも入れました。

私は長靴が汚れるのが嫌だったので肥料袋をかけてから踏み込みました。しっかり踏み込んで圧縮することが成功の秘訣のようです。

落葉が圧縮されてかなりかさが減りました。

これを3回繰り返して1つのNPポット踏み込み温床が完成です。早ければ数日で温度の上昇が確認できるようですのでそれまでに温度計を購入しておこうと思います。

最後はビニールやフィルムなどで踏み込み温床の場所を覆うそうですが、鉢だったので上に肥料袋で蓋をしました。温度の確認で思ったより温度が上昇していない場合は全体をフィルムで覆うことにします。

効果の確認

ポット踏み込み温床を始めてから1週間が経過しましたが、温床の温度は20℃程度で思ったように上昇していませんでした。さて、なぜだろうか…

温度が上がらない…、考えられる理由として真っ先に思ったのが「土着菌」が少ないのではないか。これです。

落葉を使った踏み込み温床作りは土着菌の活躍によるものが大きいそうです。

土着菌は落葉に付着していることが多く、白い菌糸が目立っています。一方でうちの果樹ハウスで集めた落葉は乾燥していてパリパリでした。当然ながらビニールハウス内で集めた落葉ですので雨に濡れることはありません。個人的には白い菌糸が出ていなくても落葉には土着菌がいるものだと思っていましたがいない・極端に少ないのかもしれません。

そもそも「土」着菌と言うくらいなので土の中にいる微生物で、うちのようにビニールハウス内に防草シートを敷いて管理している場合は落葉であっても土着菌が付かないのでしょう。

現状のポット踏み込み温床を続けても期待通りの成果は出ないと判断し、テコ入れを実施することにしました。

土着菌とは?

テコ入れをする前に土着菌について調べてみることにしました。

調べてみると土着菌とはその地域に住んでいるさまざまな微生物のことのようです。 特定の微生物を指すものだと思っていましたが、微生物の集まりで、地域によっても種類が異なるそうです。

土着菌の画像を調べたら落葉にまとわりつく白い菌糸が出てきて「はんぺん」に例えられていました。

うちの露地樹木(防風林)エリアの落葉を観察してみましたが検索画像に出てきたような菌糸の塊は発見できず、落葉にうっすら白いものが付着しているものが出ていたくらいです。

ひとまずこの辺りの落葉や土を採取して踏み込み温床の材料として活用していくことにしました。

テコ入れ

ビニールハウス内の落葉がダメなら露地の落葉を拾おう。さっそくもふもふ農園の防風林エリアに向かいました。

防風林エリアとはビニールハウス保護のため農園の外周エリアに植えた防風林のことです。イチョウやビワや梅やみかんなど様々な樹が自由奔放に育っています。一部は枝がビニールハウスを突き破り本末転倒になっています(笑)

2023年の1月下旬には強烈な寒波がきて、雪が積もり最低気温も-5℃まで冷え込みました。

雪をかきわけて落葉を採取して踏み込み温床作りのリベンジです。

その後の報告

防風林エリアから採取した落葉を使って踏み込み温床を作りました。

落葉と土とコーランネオを入れてしっかりと踏み込みを行います。踏み込み後はビニールを被せて熱が逃げないように対策して放置しました。

そしてテコ入れから1週間後、再度温度を測ってみました。

温度は上昇していますが、思ったような結果ではありません。さてなぜだろうか?

踏み込み温床の考察

踏み込み温床作りに挑戦してみましたが、正直成功なのか失敗なのかよく分からない結果になりました。

温度は1週間で30℃近くまで上昇しましたが分解の熱にしては弱いと感じます。この状態が続くのか温度が低下していくのかも今後の状態をしっかり確認していきたいと思います。

踏み込み温床作りの失敗事例を読んでいると分解が一気に進んですぐに温度が低下してしまうことや水分が多すぎて失敗、有機物が多すぎて失敗などの内容が出てきました。

今回の内容を成功と言うのなら最初の1週間で温度がしっかり上昇して計測時には落ち着いた30℃付近だったと言えます。

逆に今回の内容を失敗だと言うのなら水や有機物が多く分解熱が思ったよりも出ていないのではないかと考えられます。そもそも鉢のような小規模の場所では踏み込み温床は作れないのかもしれません。

結果的に温度は上昇したため失敗ではなさそうですが踏み込み温床作りをもう少し勉強する必要がありそうです。

今後も気になったことがあれば記事を追記していきます。

まとめ

今回は先人の知恵「踏み込み温床」作りを行いました。

落葉を米ぬかを層にして踏み込み、微生物の分解によって生じた熱を育苗に活用したり、分解後の腐葉土を栽培に活用したりでき、メリットのある農法です。

落葉集めや準備に手間がかかりますが、やってみる価値はあるのではないでしょうか?

使う材料は落葉と米ぬかだけでもできますが、鶏糞を入れるとより栄養豊富な資材になるそうです。

うちでは「落葉・米ぬか・コーランネオ・モミガラ・モミガラくん炭・落ちた果実」を入れて踏み込みました。どれほど温度が上昇するか・完成した資材はどれほどか気になります。

剪定枝や枯草を入れることも考えましたが、ゴチャゴチャしそうなのでやめました(笑)

資材として使えるのは春頃と思われますので、完成までじっくり待って何に使うか考えておきます。

今回も最後まで読んで頂き感謝です。

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